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パラリンピアン/走り幅跳び選手 山本篤さん プロ転向で 脱「甘え」

◆東京パラ 最高の競技を

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 走り幅跳びで世界の強豪と頂点争いを演じる山本篤選手(37)=掛川市出身。「今までにない最高のパフォーマンスをすることが一番の仕事」と、一年後の八月二十五日に開幕する二〇二〇年東京パラリンピックを見据える。

 −高校二年の春休みにバイクの単独事故で左脚を失った。

 脚を切断する時にはスポーツをやりたいって思っていましたね。一日だけ訳も分からず泣きましたが、その後は義足になってどうしたいか、意識が変わっていた。「過去は仕方がない。じゃあ、次どうするの」っていう子育てをされていたので。

 −障害のある人がスポーツを始める上で、どういう環境を望むか。

 義務教育課程であれば、国が保証すべきです。競技用の義足を使えば、体育ができるようになる。「あなたたち(国)が義務教育としている以上は責任を持って義足の子たちに支給をしましょうよ」と言いたい。そうすれば、体育の授業で「見学しときなさい」ではなく、「一緒に走ろうよ」になる。走るのが速い遅いは別にして。

 −病気や事故で足を失った人が一回五百円で競技用義足を試せる「ギソクの図書館」が一七年に、東京都内に誕生した。その出張版を昨年、大阪で初めて企画した。

 午前中に義足を試着して調整、午後に陸上教室という流れ。競技用の義足は走れば跳ねるような感じで生活用とは全く違うけど、使い方が分かれば走れます。そもそも競技用義足に簡単に触れ合う機会がない。僕も義足を貸してもらえたから陸上選手になれた。義足の人たちが陸上選手になるのもいいし、走ることを通して違うことにチャレンジするのも良い。そのきっかけをつくりたかった。

 −国の基準を達成するため、障害者雇用率を水増しする問題があった。

 ひきょうなことをしている。障害者じゃない人を障害者と勝手に認定していたということですよね。しっかり障害者を雇用して、責任を果たしてほしい。職種にもよるし、できないこともある。でも、できることを企業や行政は考えて、仕事をつくっていかないといけない。

 −プロ選手に転向した。

 結果を出さなければならないというハングリー精神が出てくる。ことあるごとに、このまま自分は成長できるのかと考えているが、ちょっと甘えがあると感じた。今はどれだけここから成長できるかにフォーカスをおいていて、メダルよりも最高のパフォーマンスをしたい形に変わっている。

 −東京パラリンピックが二〇二〇年にある。五輪と比べると、盛り上がり不足は否めない。

 東京パラが決まって、アスリートの環境面はものすごく良くなった。一方で、現状は自分で調べて情報をつかみにいかないといけない。スポーツや一般のニュースで報じられるなど、勝手に情報が入ってくるような環境にならないと。

 僕自身は東京パラが決まっていなかったら、現役でやっていないと思います。モチベーションがたぶん持たない。東京なら自分のパフォーマンスを生で見てもらえる。選手はどこかしらに障害があるので、それをどう生かしているのかを見てほしい。走り幅跳びでは体重の十倍ぐらいの力をかけて義足を曲げて、その反発を利用してジャンプしている。静岡の人に、そこを見てもらえたらうれしいですね。

(聞き手・飯田樹与)

 やまもと・あつし 掛川西高卒。2008年の北京パラリンピックを皮切りに3大会連続出場。16年5月に当時の世界記録を更新。同年のリオデジャネイロ大会では走り幅跳びで銀メダル、400メートルリレーで銅メダルを獲得。17年10月に新日本住設(神戸市)とスポンサー契約を結び、プロに転向。スノーボード競技で18年平昌大会に初出場した。

 

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