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静岡けいざい

ベトナム人実習生の日本語力UPへ二人三脚

◆磐田のアドバンス 半年に1度発表会

日本語でのスピーチ発表を終えて整列するアドバンスのベトナム人技能実習生たち=磐田市で

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 自動車部品や総菜の製造を請け負うアドバンス(磐田市)が、ベトナム人技能実習生による日本語スピーチ発表会を定期的に開いている。同じ現場で働く日本人従業員が「先生」としてペアを組み特訓。語学力を磨き、仕事での円滑な意思疎通につなげようとしている。

 「トイレでウォシュレット(温水洗浄便座)を使うと、全身の力が抜けるようで気持ちがいいです」

 十一月中旬、磐田市のアミューズ豊田であった発表会。ホアン・ヴァン・ザップさん(23)が日本語で恥ずかしそうに切り出すと、会場は笑いに包まれた。

 来日して二年の男性。現在は豊田合成の森町工場内でトヨタ自動車のバンのドア部品の製造を担当する。壇上では日本製品の質の高さに感激したことを力説。「トヨタに関わる仕事ができて良かった。ベトナムで日本のパソコンを売る店をやりたい」と夢を語った。

スピーチに聞き入る日本人従業員やベトナム人実習生たち=磐田市で

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 この日は男女十二人が、実習経験や両国の習慣の違いを題材に六〜七分ずつ発表。取引先も含め二百人近くで埋まった客席の最前列では、発表者を支えた日本人従業員たちが見守った。

 その一人、鈴木祐斗さん(32)は三カ月かけてザップさんに文章の構成や発音を指導。人生設計を聞くことから始め、「彼の目的意識や人柄をより深く知ることができ、距離が縮まった。仕事で必ず生きてくる」と実感を込めて語った。

 アドバンスは、県西部にある企業の三拠点で構内請負を手掛け、現在は約八十人のベトナム人実習生が日本人従業員と働く。だが、「休み時間は実習生だけで固まりがち。仕事で細かい指示が伝わらず、ミスにつながりかねない」と粂田(くめた)真史取締役(50)。語学力や日本人の指導力の向上を目指して一昨年から発表会を始め、半年に一回開催する。

 発表は三年間の実習の折り返しに差しかかった人が対象。来日して間もない人も会場に集い、「頑張る先輩」の姿を見て意欲を高めてもらう狙いもある。

 目標は実習終了までに日本語能力試験の「N3」に合格させること。日常的な日本語をある程度理解し、新聞の見出しから記事の概要を理解できるレベルとされる。粂田さんは「低賃金の単純労働力とみなされ、うまく話せないまま帰国する人もいると聞く。受け入れる以上は、日本語という技能を習得させる義務がある」と指摘する。

 国内の人手不足対策として四月に新設された在留資格制度「特定技能」は、実習生からの移行が想定される。粂田さんは「地方の産業は外国人材の力なしでは成り立たない。実習後も働いてもらう土壌づくりが必要だ」と力説する。

(久下悠一郎)

 

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