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静岡けいざい

きれいな水、大切です ヤマハ発途上国で紙芝居

清潔な水の大切さを広める紙芝居を手にする岩崎慎さん(右)。左は物語に登場するキャラクター「プリンセスヤマハ」=磐田市のヤマハ発動機本社で

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 ヤマハ発動機は、アフリカなどの途上国で展開する浄水装置の設置に合わせ、きれいな水の大切さを紙芝居でアピールする活動に力を入れている。清潔な水は疫病の予防や健康に欠かせないが、古い風習が根付く現地では理解されにくい。絵を手掛けるコーポレートコミュニケーション部の岩崎慎さん(44)は「分かりやすくメッセージを伝えられる」と日本の文化の力を強調する。

 六月、アフリカ西部のセネガルの集落で紙芝居による寸劇が繰り広げられた。「これから俺様のバイ菌を川の中に送り込むぞ」−。怪人の仕業で病気になる村人たち。危機を知った日本から浄水装置が届くと、きれいな水で子どもたちが力をつけ、怪人を退治した。

 集落は首都ダカールの北東約四百キロのモーリタニアとの国境沿い。川や井戸の水質が悪く、日本政府の支援事業をヤマハ発が請け負い、浄水装置「ヤマハクリーンウォーターシステム」を設置した。

紙芝居に合わせて寸劇を披露するヤマハ発動機の社員たち=セネガルで(同社提供)

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 紙芝居は、三つの集落で計三百五十人ほどを前に上演。怪人役も務めた岩崎さんは「子どもたちが夢中で耳を傾けてくれた」と手応えを語る。

 装置を担当する海外市場開拓事業部の辰巳宗康さん(63)によると、アフリカの一部の地域では、体調を崩しても医者ではなく祈祷(きとう)師に頼る風習が残っており、「清潔な水の意義を伝えるのは難しい」。識字率が低いため冊子やチラシを配っても効果は薄い。目を付けたのが、視覚的に理解しやすい紙芝居だった。

 岩崎さんは美術系の学校を経て、ヤマハ発で製品デザインを担当。広報部門に移った今も、同僚の送別会で似顔絵を贈るほどの絵心の持ち主だ。紙芝居では、セネガルで一般的に使われている名前を登場人物に付け、肌の色も似せて親しみやすいように工夫した。

途上国に設置を進めているヤマハクリーンウォーターシステムの模型

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 反省点もある。主人公たちが変身するキャラクター「ヤマハマン」「プリンセスヤマハ」を考案したが、「そもそも『変身』の意味が分からない人もいた」と振り返る。通訳を介することで一回の上演が二十分ほどになり、子どもたちが飽きてしまうのではないか、とも心配したという。

 来年にはアフリカ南東部の島国マダガスカルで、簡潔なストーリーに練り直した紙芝居を披露する予定。岩崎さんは「水問題が改善して生活が豊かになり、やがてヤマハ発の製品を手にしてもらえたら」と願う。

 <ヤマハクリーンウォーターシステム> 川から水をポンプでくみ上げ、砂利や藻類が入った複数の槽をゆっくりと通過させてろ過する仕組み。設置面積は大きなタイプで70平方メートルほど。24時間運転し、最大で1日8000リットルの浄水を供給できる。設計が簡易なため住民だけで手入れできるのが特長。2010年から販売を始め、今年10月末時点でアジアやアフリカの41カ所に設置されている。水道水の濁りに悩んでいたヤマハ発動機のインドネシア駐在員のために開発した浄水器が基になった。

(久下悠一郎)

 

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