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静岡けいざい

富裕層向け拡大 スルガ銀が中期計画

 スルガ銀行(沼津市)は十四日、二〇一九〜二二年度の中期経営計画を発表した。個人ローンを引き続き収益の柱に据えつつ、不正融資問題の反省を踏まえ、富裕層向け商品を増やすなどリスクを抑えた収益構造への転換を進める。二二年度に単体で純利益六十億円(一九年度予想比九十億円減)を目指す。

 計画では投資用不動産や住宅、無担保の個人ローンを中心に、二二年度の新規融資実行額を千九百億円と設定。うち千二百億円を見込む投資用不動産向けは、老後の資産形成の需要を見据え、資産一億円以上の富裕層に顧客を広げる。

 貸し倒れの危険が少ない分、利率の低い融資が増えるため資金利益は減少する見込み。外債や投資信託など有価証券の運用を本格化させ、収益を多様化する。店舗業務や現金自動預払機(ATM)の配置を効率化し、二二年度までに年間経費を六十八億円減らす。

 同日発表した一九年九月中間連結決算は純損益が百五十九億円の黒字。シェアハウス向け融資の貸し倒れに備える引当金の計上などで千七億円の赤字に転落した前年同期から回復し、二年ぶりに黒字化した。

 ただ、本業の収益力を示す単体のコア業務純益は前年同期比33・1%減の百九十八億円だった。個人ローンの新規実行額が約十分の一に落ち込んだことが響いた。期末の預金残高も7・3%減の三兆一千六百四十九億円と、顧客の流出に歯止めがかからなかった。

 沼津市内で記者会見した有国三知男社長は「再建の道筋が固まったとは考えていない。中期計画をしっかり実行していくことが大事だ」と語った。

(伊東浩一)

◆異業種提携 具体策なし

記者会見で筆頭株主となるノジマについての質問に答えるスルガ銀行の有国三知男社長(前列右)=沼津市で

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 経営再建を目指すスルガ銀行(沼津市)が十四日発表した中期経営計画には、筆頭株主となった家電量販大手ノジマ(横浜市)との連携策は盛り込まれなかった。不正融資の誘因となった「高リスク・高リターン」から「中リスク・中リターン」へ収益構造を転換する戦略にも、金融関係者から「本当にできるのか」と疑問符が付いた。

 スルガ銀は先月、創業家ファミリー企業との資本関係を解消し、ノジマが筆頭株主になると発表。県内の地銀関係者から「興味深いが、連携のイメージが浮かばない」との声が聞かれるなど、異業種のノジマとどのような相乗効果を目指すかが焦点の一つだった。

 結局、中期計画にはノジマとの連携や業績の押し上げ効果は盛り込まれなかった。沼津市内で記者会見したスルガ銀の有国三知男社長は、ノジマとの提携に関する質問に対し「中身について協議を継続している」と述べるにとどまった。

 今月十三日に事業承継分野などで業務提携を発表した新生銀行(東京)についても、発表以上の内容にはほとんど言及しなかった。

 中期計画で示したのは、資産が潤沢ではない顧客にリスクを取って融資する従来の手法から、貸し倒れの危険が少ない代わりに融資の利率も抑える「中リスク・中リターン」への転換。具体的には、相続対策や資産形成に関心が高い富裕層を、投資用不動産をはじめとする個人ローンの顧客に取り込むことを狙った。

 これに対し、マネックス証券の大槻奈那チーフ・アナリストは「収益を上げていく姿勢は描けているが、それを支えるリソース(経営資源)が不透明だ」と指摘。富裕層にターゲットを広げるのも「競争が激しく難しい」と疑問を呈した。

 県内のシンクタンク関係者も「中リスク・中リターンによる生き残り戦略は、間違いではない」と理解を示しつつ、「どの金融機関も富裕層を狙っており、金利競争が激しい。中リターンでも得るのは簡単ではない」と指摘した。

(伊東浩一、山中正義)

 

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