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静岡けいざい

浜松材使い木彫り家紋 杉山木型製作所が販売

「家紋の伝統を残したい」と語る杉山木型製作所の杉山和男社長=浜松市南区で

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 自動車の試作部品の木型などを手掛ける杉山木型製作所(浜松市南区)が、木彫りの家紋の製作販売を本格的に始めた。コンピューター制御の切削加工と伝統の手彫りを組み合わせて手頃な価格を実現。家紋を彫れる職人は少なく、家紋自体を知らない若い世代も多い中、杉山和男社長(67)は「自分が作り続けることで家紋の伝統を残したい」と話す。

 家紋の製作には天竜ヒノキや天竜杉といった浜松産の木材を使用。デザインをコンピューターで立体データにして機械で切削加工する。「木は生きもの。年輪や木目の向きなどを見極めて最後の調整をする」と、仕上げは一級木型製作技能士でもある杉山社長の手仕事。乾燥させた後、木材を長持ちさせる樹脂塗料を塗って完成となる。

 すべて注文製作で、価格は直径四十五センチで平均三万六千円、三十センチで一万八千円。切削加工機の活用や直売により、昔ながらの手彫りの製品に比べて十分の一程度に抑えたという。杉山社長は「いろいろな塗装もできるので、オブジェとして若い人にも飾ってもらいたい」と売り込む。

 一九八〇年の創業当初、知り合いの宮大工から頼まれたのがきっかけで木彫りの家紋を作り始めた。自動車部品や工作機械の鋳造用の木型を製造する本業の傍ら、口コミで舞い込む注文に応えながら家紋の種類を学び、技術を磨いた。

 杉山社長によると、家紋は聖徳太子が考案したのが最初とされ、奈良時代には木彫りの家紋が建築物の装飾などで登場。室町時代からほとんどの武士が持つようになり、明治時代に庶民に広がった。現在は約五千五百種類あるという。

 同社には子孫に残す目的のほか、好きな武将の家紋を注文する人が訪れる。ただ、家紋に関心がある人はごく一部で、「何もしなければ消えてなくなってしまうのでは」と危機感を持つようになった。

 今年二月に浜松市の「浜松ものづくりマイスター」に認定されたことを機に、「何かを残すのがマイスターだ」と考え、ひらめいたのが家紋だった。近年はコンピューターを使った設計やシミュレーション技術の進化で試作品を使った実験が減り、本業の将来も厳しいと感じていたことも、消費者向けの製品を手掛ける決意を後押しした。

 今後は直径十五センチで五千円からの小型の家紋も手掛ける。工場の一角に三十六種類を展示して見学できるようにもした。杉山社長は「浜松の木材で全国に家紋の文化を発信したい」と意気込む。

(山田晃史)

 

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