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静岡けいざい

コンクリートに漆 平成建設が技術確立

独自技術で漆を塗ったコンクリート製のテーブル。木のような温かみのある色と風合いが出る=沼津市の平成建設本社で

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 平成建設(沼津市)が、コンクリートなどの不燃材に漆を塗る技術を開発した。無機質な素材に漆特有の奥深い色や温かみのある風合いを加えられるのが特長。住宅や店舗の内装、家具などに利用したいと、施工業者や設計事務所などから注文や問い合わせが相次いでいる。

 平成建設は住宅や商業建築のほか、コンクリート製の家具の製造も手掛ける。漆を塗る技術の開発に乗り出したのは、試しに塗ってみたところ、うまく固着したことがきっかけだった。石渡鉄蔵常務は「ひょうたんから駒で、コンクリートに面白いあめ色を付けることができた」と振り返る。

 しかし、技術の確立には苦労した。コンクリートに含まれるアルカリ成分と漆の水分が反応して漆が真っ黒になってしまうほか、コンクリートの上で安定して固まらなかった。約一年間の試行錯誤の末、ある物質を下地材としてコンクリートに塗ることや、漆とコンクリートを高温で熱処理することで、漆を安定的に固着させ、色も損なわないようにするめどを付けた。

コンクリートに赤く着色した漆を塗る様子=平成建設提供

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 コンクリートのほか、ケイ酸カルシウム板などの不燃性の建材にも応用できるように改良し、二〇一七年に特許を取得して販売を開始。その後、下地材や熱処理を局所的に施すことで漆に模様を付ける方法も考案した。また、漆に顔料や鉄分を加えて赤や黄、茶色など色彩も多様にした。

 壁紙やしっくいといった通常の内装より高額だが、現代風の建築に和の風情や高級感を持たせられることから、住宅の玄関や飲食店のカウンターの壁などとして十件近い注文があった。設計事務所などからも、手掛ける建築物件に採り入れられないか、問い合わせがあるという。

 開発に携わった平成建設大工工事部の有賀建樹(たつき)さんは「漆は古来の天然樹脂塗料。意匠性だけでなく、シックハウス症候群の心配がないほか、耐久性を高め、使えば使うほどツヤが出る良さがある」と、さまざまな長所をアピールする。

 同社は、静岡市がオクシズ(奥静岡)地域で進める漆の地産地消の取り組み「漆の里構想」にも協力する計画で、石渡常務は「将来は地元で採れた漆をコンクリートなどの現代建築に使いたい」と展望する。

(伊東浩一)

 

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