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静岡けいざい

車内販売、収益増へ工夫 JR東海

約60種類の商品をワゴンに積みパーサーが車内を巡る東海道新幹線の車内販売=JR東海提供

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 利用者の減少によりJR各社が新幹線の車内販売の廃止や縮小を進める中、JR東海は東海道新幹線の「のぞみ」「ひかり」では従来通り継続する方針だ。車内販売を担う子会社のジェイアール東海パッセンジャーズ(JRCP、東京)は一日四十六万人が利用する「立地」を生かし、飲食メーカーなどと連携して収益増に向けた取り組みを進めている。

 「新幹線で、『神泡。』」。今年二月、サントリーと連携し、こんなキャッチコピーで高価格帯のビール「ザ・プレミアム・モルツ(プレモル)」の販売を始めた。

 東京−名古屋間を夕方から夜に走行する上下十本の「のぞみ」に専任のパーサーが乗車。きめ細かな泡を生み出す電動サーバーを缶ビールに装着してカップに注ぐ。つまみとセットで税込み五百円だ。

 従来はプレモルの缶ビールをそのまま販売していたが、乗客の中心である「ビジネス利用の四十〜五十代」に生ビールの感覚を楽しめる趣向が好評で、対象の列車ではプレモルの販売量が前年比で五倍に増加。四月初めまでの予定だった販売期間を八月末まで延長した。

 「定番商品」にも磨きをかける。スジャータめいらく(名古屋市)が製造し、「硬いアイス」として知られる「スーパープレミアムアイスクリーム」に、今月四日からは新作のマンゴー味を追加した。

 マンゴー味の開発には「車内販売を盛り上げよう」と初めてパーサーも参加。どんな味がいいかを選ぶアンケートや試食などに携わった。

 同商品の販売は一九九一年ごろから始まり、一部の駅ホームの売店などを除いて新幹線車内限定だ。インターネット上で硬さが話題になったこともあり、二〇一八年度の車内販売での実績は前年比12%増、本年度も四〜六月の三カ月間で35%増と伸びている。

 車内販売で常にトップの販売数を誇るホットコーヒーも、昨年九月に三年ぶりに味をリニューアルするなど、工夫を続けている。

 「車内販売を維持するためには売り上げ増は欠かせない」とJRCPの担当者。「品ぞろえの豊富さでは店舗に負けるが、新幹線の車内という特性に合うような商品をメーカーと一緒にPRするなど、販売促進に積極的に取り組んでいきたい」と話している。

◆駅売りの充実で他路線は縮小

 車内販売は今年三月に北海道新幹線、東北新幹線「やまびこ」、秋田新幹線「こまち」(盛岡−秋田間)、九州新幹線で廃止された。東北新幹線「はやぶさ」をはじめ山形、上越、北陸各新幹線でも弁当やコーヒーの販売を取りやめ、ペットボトルのソフトドリンクやアルコール類、つまみなどに絞って継続している。

 駅の売店の充実などで乗車前に購入する客が増え、利用者が減少していることが背景にある。一方、JR東海の金子慎社長は二十四日の記者会見で「お客さまに対するサービスとして重要。工夫しながら一生懸命、継続していく」と述べ、東海道新幹線の「のぞみ」と「ひかり」では続けていく考えを示した。

 他路線と比べビジネス利用の乗客が中心で、年間を通じて安定的な利用が見込めることが大きい。ただ金子社長は「コストと比べてそれほど売り上げがなく、運営が難しいという点では(他社と)共通するところはある」と課題も認めている。東海道新幹線も「こだま」で二〇一二年に取りやめ、在来線特急でも一三年に廃止している。

(河原広明)

 

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