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静岡けいざい

県内の銀行や信金 脱ノルマの動き

◆不祥事、働き方…背景

 県内の銀行や信用金庫で「脱ノルマ」の動きが出てきた。営業職員の人事評価で、従来は融資の実行額など数値目標の達成度を最重視してきたが、取引先への貢献度など「顧客本位」の視点を加味するようになった。相次ぐ不祥事で金融機関に注がれる目が厳しくなっていることに加え、働き方改革の機運の高まりが背景にある。

 浜松いわた信用金庫(浜松市中区)は、浜松信金時代の二〇一六年四月から、融資額や預金額などの数値目標を重視していた営業店の人事評価制度を、業界に先駆けて見直した。

 以前は本部が各店舗に数値目標を割り振り、店舗で職員ごとに目標を課して成績を競わせていたが、「数字の達成が第一義となり、職員の都合で売りやすい商品を顧客に勧めることもあった」(担当者)という。

 そこで、融資額などの基準は一部残しつつ、取引先を訪問した回数や聞き出した要望の件数、課題解決に有効な提案をしたかといったプロセス中心の評価に変えた。担当者は「難しさもあるが、顧客本位は金融機関のあるべき姿。考えながら進めている」と話す。

 静岡銀行(静岡市葵区)も今年四月から、行員の人事評価に中長期的な視点を本格的に導入した。これまでは、半年間の融資額や預金額などの目標の達成度で評価していたが、事業承継や相続といった取引先の需要を引き出した過程も、考慮することにした。

 柴田久頭取は「事業承継などのテーマは短期間で成果が出るものではない。本当の意味でお客さんのためになる仕事をした行員を評価する」と話す。

 一八年にシェアハウスなどの投資用不動産を巡る不正融資が発覚したスルガ銀行(沼津市)は、過大なノルマが行員を不正に走らせたとする第三者委員会の指摘や反省を踏まえ、ノルマを廃止。営業成績偏重だった人事評価を、仕事に対する姿勢や意欲を重視する制度に変更した。

◆新卒者は「厳しさ」敬遠

 「脱ノルマ」は、全国の金融機関に広がっている。三井住友銀行は今年四月に支店の個人向け営業のノルマを廃止。十六銀行(岐阜市)も二〇一七年四月からの中期経営計画に、営業担当行員に課しているノルマ廃止を盛り込んだ。

 見直しが進む要因の一つには、銀行が販売した外貨建て保険が元本割れして高齢者らの苦情が増え、金融庁が顧客重視の営業体制に改めるよう金融機関に要請したことが挙げられる。

 かつては「就職したい企業」の上位だった金融機関の人気が、近年は低下していることも無関係ではなさそうだ。経営環境の厳しさのほか、県内の地銀幹部は「銀行が悪いイメージで報じられることが最近多い。新卒者のエントリーが減っており、入社しても離職が少なくない」と嘆く。

 最近の新入社員は、仕事と生活の両立を目指す「ワークライフバランス」を重視する傾向が強いとの統計もあり、厳しいノルマを課す職場は敬遠されがちだ。「金融機関=ノルマ」のイメージを払拭(ふっしょく)し、人材の獲得や流出防止につなげたい意図も垣間見える。

(伊東浩一)

 

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