トップ > 静岡 > 地域特集 > 静岡連載 > 記事一覧 > 2019年の記事一覧 > 記事

ここから本文

静岡連載

浜松夜話 第9話【特別編】 百人百様の動物たち

日中では見られない暗闇に浮かび上がるゾウも見もの=浜松市西区の市動物園で

写真

 「愛をください」というフレーズを繰り返すのがおなじみのJ−POPの名曲「ZOO」(辻仁成作詞、作曲)は、動物の姿を人間になぞらえて歌っている。確かに動物は時に人間的なしぐさで人をほっこりさせてくれる。愛をくれるかどうかは知らないが。

 さて今宵(こよい)は「ナイトズー」と題し、八月の土曜日限定で夜間、園内を開放している浜松市動物園(浜松市西区)に出掛けたい。「浜松夜話なんだから、別に飲み屋に限らなくていいだろう」という尊敬するイケメン上司(49)の意見もあり、車を走らせた。

 午後七時ごろ、到着。日が出ていない分、涼しくていい。酒の代わりにラムネを買って飲む。せっかくだし、前日に複数の友人を誘ってみたのだが、応じたのはフリーアナウンサーのY(26)だけだった。フリーの意味は「暇」ってことじゃなかろうに。

 最初に見たのはカンガルー。ガタイは良いくせに昼間は寝てばかりいるらしいが、夜は活発だ。オーストラリアまで帰れそうな勢いでぴょんぴょん跳ねている。

 逆に期待外れだったのがトラだ。夜行性なのだから機敏な動きを見せてくれるのかと思いきや、柵に背を向けて寝ており、微動だにしない。迫力ある姿を見に来たであろう子どもたちも「もう行こうよ」とあきらめて、おりを離れていく。残業はしたくないらしい。動物の世界にも働き方改革だ。

 ひときわ注目を集めていたのはカピバラの家族。両親二匹が歩く後ろをひとまわり小さい子どもたちがゾロゾロついていく。何とも愛らしい。実にさまざまな鳴き声があることにも驚いた。「キュルキュル」「ピー」「ゴッゴッ」。一家だんらんを邪魔する珍しい夜の人だかりに抗議しているのかもしれない。さっきから「かわいい!」しか言っていないYよりよっぽど賢そうに見えるな。

 サービス精神旺盛にぬいぐるみのような愛嬌(あいきょう)を振りまくレッサーパンダ。衆人お構いなしにバッタをむしゃむしゃ食べる小型のサル、コモンマーモセット。飼育小屋に帰りたそうに扉に向かってモゾモゾするだけのヤマアラシ。百人百様ならぬ百匹百様。動物園は小さな町である。

 冒頭の「ZOO」の歌詞にはこうある。「見てごらん よく似ているだろう 誰かさんと」。確かに。尊敬するイケメンの上司もよく会社でむしゃむしゃしているな。バッタじゃなくて菓子だが。

 【入園料410円、駐車場代200円】

 開園時間は午前九時〜午後八時半(入園は午後八時まで)。

(鎌倉優太)

 <注>文中にある「尊敬するイケメン」を「ヒゲ」に差し替えます。「尊敬する…」は上司に無断で書き換えられたものでした。

 

この記事を印刷する

中日新聞・北陸中日新聞・日刊県民福井 読者の方は中日新聞プラスで豊富な記事を読めます。

中日新聞しずおかの記事はこちら

新聞購読のご案内

PR情報

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山
地方選挙

Search | 検索