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静岡連載

浜松夜話 第6話 餃子で旧交 温める

おいしかった「チーズ餃子」=浜松市中区田町で

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 「朋(とも)有り、遠方より来る、亦(ま)た楽しからずや」。孔子先生はやはり、良いことをおっしゃる。

 先日、島根県の中学校で音楽を担当する旧友の女性「ばっさん」(26)が浜松にやってきた。全国の吹奏楽指導者を対象にした講習会に手弁当で駆け付けたのだという。自腹で仕事をするのは私だけではないのだな。努力をたたえ、「音楽の街」がもたらしてくれたひとときを楽しもう。

 ばっさんは「浜松らしいものを食べたい」という。こういう人にはギョーザを食べさせておけば大抵、文句は出ない。案の定、私の提案に「いいね、ギョーザ」とか言っている。

 名店が星の数ほどある浜松だが、この夜のチョイスは中区田町の「浜太郎 浜松駅前店」。ギョーザ専門店「浜太郎」を展開するユーエスフーズ(北区)が四月下旬にオープン。アルコール類を多くそろえ、四店舗目にして初めての居酒屋形態だ。本紙の経済面で紹介されており、気になっていた。新聞を読んでいると良いことがある。

 グループ会社の東亜工業(同区)は元々、バイク部品などをつくっていたが、一九七六年にギョーザ製造機の世界へ方向転換。今や業界トップのシェアを誇る。ライバル、宇都宮市でも多くのギョーザが同社の製造機でつくられている。

 以前、社会人野球の大会を取材したことがあるが、ヤマハの対戦相手がヤマハ製の楽器を使って選手を応援していた。その感じと、どこか似ている。

 駅前店のギョーザも当然、ギョーザ製造機でつくられているのだが、驚くべきはその種類の多さ。ネギ、パクチー、キムチ、しそ、桜えび…。「チーズ餃子(ギョーザ)」は、ギョーザにたっぷりかかったチーズを店員が目の前で丁寧に火であぶってくれる。これはお世辞抜きで絶品だった。

 ギョーザをひとつ、三ケ日みかんハイボールをひとくち。ジューシーさをかんきつ系の爽やかさが押し流してくれる。ばっさんの箸も無限ループで進む。夢中で、私の話をちゃんと聞いていない可能性もある。

 「材料は全て国産を使っています。それに、隠し味には自家製のスープをあんに練り込んでいて…」。ユーエスフーズ専務の請井広美さんから後日、電話でこだわりを聞いた。受話器越しに、ギョーザの香ばしいにおいを嗅いだ気がした。

 私は高校時代、ばっさんから地理のノートを借りていた。おかげで予習がはかどり、厳しかった地理の先生のカミナリを何度も逃れた。少しでも恩返し、のつもりだったが、酒酌み交わし、語り合ううち、ばっさん以上に楽しんだ気がしないでもない。当然、この夜の支払いは全て私だが、安いものである。「ウナギでよろしく」とか言われなくて良かった、ほんと。

【今回の出費、二人で5800円】

(鎌倉優太)

 

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