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静岡連載

天皇・皇后両陛下 ゆかりの人を訪ねて(12) 久能山東照宮宮司の落合偉洲さん(71)

◆洋時計 刻む特別な絆

両陛下とスペイン国王夫妻に洋時計を紹介したことを記念して描かれた絵画の前で、当時を振り返る落合偉洲宮司=静岡市駿河区の久能山東照宮博物館で

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 「ようやく来てもらえるという喜びと、本当に来てもらえるのかという半信半疑の気持ちだった」。二〇一七年四月七日、天皇皇后両陛下がスペイン国王フェリペ六世夫妻を伴って静岡市を訪問された。久能山東照宮(同市駿河区)の落合偉洲(ひでくに)宮司(71)にとって、二年間心待ちにしていた日だった。

 静岡とスペインには深いつながりがある。東照宮の博物館に保存されている国の重要文化財・洋時計だ。一六〇九年、暴風雨で日本に漂着したスペイン船の船員が駿府城で、徳川家康に面会した。手厚くもてなされたことに感謝し、二年後の一一年、当時のスペイン国王フェリペ三世がお礼として洋時計などを贈った。家康は大変気に入り、部屋に飾ったという。

 家康をまつる東照宮が御鎮座四百年大祭を開いた二〇一五年、落合宮司は静岡市と協力して「日本・スペイン・シンポジウム」を開催し、国王らに洋時計を見てもらおうと考えた。スペイン大使館などに働きかけ、翌一六年に開催する運びとなった。

400年前にスペイン国王から徳川家康に贈られた洋時計

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 しかし、熊本地震やスペイン情勢の事情で中止に。落合宮司は「もう無理だろうとあきらめかけた」が、大使館側から「一度約束したことだから」と打診があり、翌一七年に両陛下と一緒に国王夫妻が来ることが決まった。

 当日は徳川慶喜屋敷跡の料亭「浮月楼」(同市葵区)で待った。目玉はもちろん洋時計だった。「四百年前にスペイン国王から家康公がもらったものです」と歴史を説明すると、陛下は「どこで作られたのですか」と尋ねた。文字盤下のプレートにラテン語で書いてあると説明すると、国王夫妻と一緒にのぞき込んで「すごい」と話したという。

 「動くのですか」と興味深そうに聞いたり、目覚まし機能があると知って驚き、笑ったりされたことを覚えている。「じっといろんな角度から御覧になっていた。両陛下は寄り添って話していて、とても印象的でした」と思い出す。

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 洋時計をスペイン国王に見てもらいたい思いから実現した特別な時間だった。落合宮司は「日本とスペインのルーツが静岡にはある。両陛下にもそこを感じてもらえたと思う。陛下には、これまでお疲れさまでしたとお伝えしたいですね」と感謝の言葉を話した。

(福島未来)

 

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