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静岡連載

浜松夜話 第4話 竹内まりやの歌声響く

竹内まりやさんが出演するテレビ番組を見てほほを緩めるマスター=浜松市中区肴町の不二丘で

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 友達でフリーアナウンサーのY(26)が浜松夜話に「出せ」と言ってきた。だったら、店を紹介してくれよ、ということで二人で連れだったのが浜松市中区肴町の「不二丘」。ジャズバーらしいのだが、Y本人は知人から聞いただけで、行ったことはないというからなんとも頼りない。

 ドアを開けると、壁一面にずらりと並んだ五千枚のCDと二千枚のレコード。圧巻である。山口百恵さんと南沙織さんがほほ笑む大きなポスター。JBL製のこれまた大きなスピーカーや静岡文化芸術大卒の絵師「ゆみんぽ」の色とりどりの花を描いたチョーク絵。情報が渋滞している。

 カウンターに座るなり、Yは仕事の愚痴を始めた。へこたれているかと思いきや、「インスタ用に撮っておこう」と、スマートフォンを取り出し、店内をパシャパシャ。とりあえず、なんでもSNSに写真を投稿しないと落ち着かないのだ。最近の流行病(はやりやまい)。目や耳や肌で感じるものもあるだろうに。

 バーのマスター岡田さん(63)は浜松北高から慶応大へ。ここまでは四選を果たした現市長と同じ経歴だが、岡田さんは松下政経塾には入らず、東京ガスでエンジニアとなった。老舗の日本料理店でおかみをしていた母親が引退したので、脱サラ。五年前、店の一部をジャズバーに改装した。

 流れていたジャズは、いつの間にか、竹内まりやさんのレコード曲に変わっていた。「J−Boy」「ブルー・ホライズン」「ドリーム・オブ・ユー」。隣のYの愚にもつかない話よりも、優しい歌声が心地いい。なぜ、竹内まりやさんなのか。「今夜、NHKで十一年ぶりにテレビ出演するから、その予習だよ」。え、ジャズは?

 マスターが自慢のでっかいスピーカーを消してテレビに切り替える。われわれもシンガー・ソングライター兼主婦のインタビューをさかなに酒を飲む。六十四歳らしいが、どう見ても見えない。歌声まで含めて驚きのアンチ・エイジング。

 岡田さんは同じ時期に同じ大学に通っていたが、キャンパス違いで、会ったことはないらしい。「でも、デビューからずっと、追っ掛けてるよ」。コレクションのレコードを持ってきて見せびらかす。上機嫌だ。だから、ここは、なんのバーだ?

【今回の出費3500円ぐらい】

(鎌倉優太)

 

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