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静岡連載

浜松夜話 第3話 ピザ片手にビール外交

ご機嫌でピースサインのファーラ=浜松市中区田町のカギヤカフェで

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 一見、人がいそうもないボロ…いや年季が入ったビルの一室にバー「カギヤカフェ」(浜松市中区田町)はある。その名の通り、コーヒーも出るが、私はピザやパスタをつまみにビールを飲む。

 オーナーの尾形さん(48)は高校を一年で中退した後、アルバイト暮らしを経て、二十六歳で最初のバーを出店。今では市内で八店舗の飲食店を経営する。独学で習得した英語もなかなかのもので、この店には浜松で働く外国人も集まる。ことさら、「ENGLISH DAY(イングリッシュ・デイ)」と銘打つ月曜日は夜の国際交流場、現代の鹿鳴館(ろくめいかん)。

 だが、このイベント、マークシートを塗りつぶすための英語しか学んでこなかった私にはちと荷が重い。仕方なく昨年、弊社に入社した後輩のA子(23)を「一杯おごるよ」とそそのかして連れてきた。

 このA子、アメリカの大学を卒業しているが、どうせスナックで洋楽を歌うくらいしか使い道のない英語力なんだ。今宵(こよい)は先輩のために使ってもらおう。

 と思ったら、おいA子。アメリカの首都ワシントン生まれの女性、鼻が高いファーラと勝手に盛り上がっている。宮崎の片田舎生まれ、鼻の低い先輩にもちゃんと気遣えよ。「AHAHAHAHA」。ファーラの笑い声はでかい。

 通訳A子はクビにして、私はニューヨーク生まれのシティーボーイ、レイモンドとしゃべった。浜松に来て十一カ月ほど。私立高校で先生をしているらしい。何となく言っていることは分かるから、受験英語もばかにできないが、自分の言いたいことがうまく伝えられないのが、もどかしい。

 そんな様子を察してか、レイモンドはiPad(アイパッド)を取り出すと、過去に行った日本の観光地の写真を見せながら解説してくれた。おかげで私は「オー、ビューティフル」と「オー、ナイス」の二パターンだけで国際交流。大事なのは、資格より自信とその場のノリだ。

 「He is a journalist(彼はジャーナリストだよ)」

 尾形さんがそう、紹介してくれた。うーん、そう言われると何か、政治の不正を追及したり、戦場取材に出掛けるようなイメージもあるが、ここは酒場である。あるのはラブアンドピース。ピザアンドビール。そして、ファーラの笑い声。「AHAHAHAHA」

【今回の出費1500円(二人分のイベント参加費1000円、ピザ500円)】

(鎌倉優太)

 連載へのご意見、ご感想、「うちへ来い」というお誘いはファクス=053(421)5218、電子メール=tkahod11@chunichi・co・jp

 

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