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静岡連載

天皇・皇后両陛下 ゆかりの人を訪ねて(8) 県地震防災センター案内の井野盛夫さん(81)

◆防災先進地 高い関心

両陛下を案内した県地震防災センターで、当時の写真資料を振り返る井野盛夫さん=静岡市葵区で

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 天皇、皇后両陛下が一九九四年四月十二日に県内を訪問された際、井野盛夫さん(81)は県防災局長として、県地震防災センター(静岡市葵区)の案内役を務めた。出迎えのために玄関で到着を待った十分ほどが、実際よりも長く感じられたという。

 想定される東海地震に備えて、防災先進地を掲げる県が八九年に開館したセンターは、両陛下が県内で初めて訪れた公共施設だった。井野さんは「陛下も注目されていた場所ということでしょう」と、当時を述懐する。お二人の滞在時間は七十分に及んだ。

 関東大震災以降に起きた県内の災害を振り返る写真パネルを、説明しているときだった。陛下に「関東大震災の津波によって、伊東市では何人が亡くなられたのですか」と問いかけられた。予想外の質問だったため、「調べましてお返事申し上げます」と答えたことを覚えている。

 防災用品の陳列ケースをご覧になっていた皇后さまは、防災ずきんを見ながらこうささやいた。

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 「私もこれを使って避難しておりました」。元民間人の皇后さまにとって、防災ずきんは、太平洋戦争中の米軍の空襲から身を守るための『防空ずきん』だったのだ。その皇后さまの思いを感じ取ったように、静かにうなずいた陛下の様子が忘れられないという。

 八年後の二〇〇二年十月三十一日、東京・元赤坂の赤坂御苑で催された秋の園遊会に招かれ、両陛下と再会の機会が訪れた。目が合った皇后さまが足を止めて、「今は何のお仕事をされていますか」と尋ねられた。

 「富士市の常葉大で防災教育をしております」。皇后さまはほほ笑んで、「若い人によろしくお願いします」と話してくれた。これまでの自分の活動が報われた気がした。

 両陛下は一七年四月にも、国賓として来日したスペイン国王夫妻と一緒にセンターを再訪した。「大勢の方の防災意識を高める場所に、注目してくださってうれしかった」。井野さんはそう思い出し、定年後も地域の防災力を高める防災士として活動している。

(谷口武)

 

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