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静岡連載

天皇・皇后両陛下 ゆかりの人を訪ねて(7) 菊川文化会館初代館長の赤堀庄太郎さん(92)

◆音楽話 ざっくばらん

天皇陛下がご覧になったモウソウチク(後方)のことを語る赤堀庄太郎さん=菊川市本所の菊川文化会館で

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 菊川市の菊川文化会館アエルを、天皇、皇后両陛下が訪問されたのは、開館から二年たった一九九四年四月十三日だった。緑豊かな丘の上にあり、回り舞台や本花道を備える千二百席の大ホールが話題を呼んだ施設。案内役を務めた初代館長で音楽教師の赤堀庄太郎さん(92)は、両陛下の旺盛な好奇心と気さくなお人柄が印象に残っている。

 駐車場で降車後、陛下は真っ先に「ここから、ねむの木学園はどれぐらいの距離がありますか」と尋ねた。掛川市へ移転する前のねむの木学園は旧浜岡町(御前崎市)にあり、次の視察先だった。

 大ホールに向かう途中にある小さな橋を渡る際は、警備上の理由で素早く歩くよう指示されていたが、赤堀さんが橋の脇に生えたモウソウチクを指して「あれはうちから持ってきました」と言うと、陛下が「あ、そう」と見に行ってしまったという。「僕が説明したから悪かったね」と苦笑交じりに振り返る。

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 四十分ほどの視察の間には雑談も交わした。「皇太子さまがビオラをおやりになっていたから、音楽の話題もあった。偉ぶることなく、ざっくばらんにお話ししていただいた」。静岡市内の菓子店で購入したえびせんをお茶請けに出すと、「これは何というお菓子」と聞かれた。「初めて食べたとおっしゃって、お皿に出したのを全部食べちゃった」

 応接室の花瓶に生けた花に目を留めた皇后さまからは、「このお花は何かしら」と声をかけられた。自宅庭にあった花で名前は分かりませんと答えると、「お宅をのぞかせていただけるといいのですが」と驚くべき言葉を漏らした。あの時、両陛下のために新調したソファは、今も使われている。

 赤堀さんは、アエルのほかでも陛下に何度かお目にかかっている。鍵盤ハーモニカを開発するなどして音楽教育に新たな指導法をもたらし、教職を退いた後も、県演奏家協会の会長として若手の育成などに尽力した功績で、二〇一六年四月に皇居で旭日双光章の授与式に臨んだときが四度目だった。「目を合わせた時、にこっと笑われたから、覚えていてくださったかと思った」と述懐する。

天皇、皇后両陛下を案内した赤堀さん(手前左端)=赤堀さん提供

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 「アエルの視察はわずかな時間だったけど、人間の本当の素晴らしさを残しておられる方だと感じた。退位後は肩の荷を下ろし、自由にご自分の生き方をしていただきたい」。赤堀さんはそう願っている。

(河野貴子)

 

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