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しずおか生活帳

パクチーブーム 県が国内大産地

◆磐田や袋井 温室活用、メロンから転作

以前はメロンを作っていた温室で現在はパクチーを栽培している名倉義剛さん=袋井市見取で

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 近ごろ、若い女性を中心にブームとなっているパクチーは、静岡県が出荷量で全国トップクラスを誇る野菜の一つ。主な産地は袋井市や磐田市などで、一年通じて出荷されている。ブームを支える生産現場を訪ねた。

 袋井市見取の名倉義剛さん(53)の温室に入ると、発芽したばかりの双葉から、収穫間近のものまで、さまざまな成長段階のパクチーが育っていた。専業農家の名倉さんは、年に二・七トン余りを出荷している。

 パクチーはシャンツァイとも呼ばれ、磐田市に本店を置くJA遠州中央には生産者でつくるシャンツァイ部会がある。メンバーは名倉さんを含め四十人ほど。JAの昨年度の出荷量は百グラムの束を三十五万束、三十五トンに上る。全国的な統計はないものの、市場関係者の話から「静岡県は全国トップクラス」と胸を張る。

 なぜ、この地域で生産が盛んなのか。JAによると、三十年ほど前から一部の農家でパクチーやチンゲンサイ、空芯菜(クウシンサイ)といった葉物野菜が作られていたことと、特産のメロンの温室に関係があるという。

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 「メロンから転作した生産者が多い」と話す名倉さんもその一人。十年ほど前、温室に使う重油の価格が高騰し、それまで二十五年続けたメロンから手を引いた。JAに相談したところ、収穫までの期間が比較的早く、量が採れて収入につながるとして、薦められたのがパクチーだった。

 先輩から栽培方法を学んで作ってみると、病気に弱く虫が付きやすい上に、天候が少しでも悪いと成長が止まる。葉や茎が柔らかく、雨に当たると折れてしまう。そこで、メロンで使った温室が役立った。露地より栽培環境が安定し、通年の出荷につながっている。

 夏と冬で使う種を換え、種まきから収穫までは夏で三十五日、冬で五十日。今年の冬から春先は、低温や天候不順の影響を受け、出荷までに七十日ほどかかった。

 ただ、トップクラスの出荷量を誇りながら、地元での消費は少ない。ほとんどは首都圏の市場に業務用として出荷されている。名倉さんは、認知度が上がってきたことは歓迎しつつ「このまま売れてくれればいいが…」と複雑な思いものぞかせる。

 パクチーは独特の強い香りから好みが分かれる。名倉さんは肉料理での活用を勧める。一押しが、パクチーを刻んで豚肉で巻き、フライパンで焼く一品。塩とこしょうのシンプルな味付けが合う。

パクチーの種。かんきつ系の爽やかな香りがする

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 このほか、ギョーザのあんに交ぜたり、マーボー豆腐やラーメンでネギの代わりとして使ったりすると、爽やかな風味を生かせるという。「甘辛のタレで食べる唐揚げにも合いますよ」

 JA遠州中央の本店敷地にある「ファーマーズマーケット見付どっさり市」では、生産者が持ち込んだ日に限り、購入できる。

(渡辺聖子)

 <パクチー> 地中海沿岸を原産とするセリ科の野菜。中国語で香菜(シャンツァイ)、英語でコリアンダーと呼ばれる。パクチーはタイ語。葉や茎をちぎると独特の強い香りを放つ。タイ料理をはじめエスニック料理に幅広く使われる。

 

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