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くらしの知恵袋

認知症 接し方3原則 驚かせない、急がせない、傷つけない

認知症の進行を遅らせる食事について話す管理栄養士=静岡市葵区で

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 脳の機能が低下し、記憶障害などが起きる認知症。国の推計で八十五歳以上の半数、九十五歳以上の八割がかかっているとされる。少子高齢化が進む今、認知症とどう向き合うべきか。

 「認知症は病気の一種。徘徊(はいかい)や暴力、うつが必ず出るなど間違った偏見がある」。指摘するのは、看護師資格を持つ静岡市職員の木下晴美さんだ。

 認知症高齢者への接し方と知識を学ぶ「認知症サポーター養成講座」の講師。静岡市では二〇〇六年の開始から五万八千人以上が受講した。今夏には市議全員と市幹部も受けた。

 認知症とは、脳細胞が死んだり、機能低下したりして、生活への支障が継続する状態を指す。初期は「中核症状」と呼ばれる記憶障害や判断力低下などが起きる。本人の性格や環境などが絡み、「行動・心理症状」と呼ばれる暴力や暴言、徘徊(はいかい)などが後から発症する。

 中核症状は初期から出るが、行動・心理症状は必ずしも発症するわけではない。生活環境や人間関係次第で、発症しなかったり、遅らせたりできる。

 最も悪影響なのは、患者にきつく当たること。怒鳴ったり、手を上げると「この人は怖い」と捉えられ、患者は攻撃的になる傾向にある。家族が「一家の恥」などと考え、外出させないことも症状を進行させる大きな一因となりがちだ。

 対策として講座では、三つの「ない」を掲げる。

 「驚かせない」「急がせない」「自尊心を傷つけない」

 身体機能や判断能力が低下し、理解力が落ちていても心を落ち着けながら、相手を尊重し、接することが大事だ。

 「認知症という病気にかかっている人と捉え、特異な人として差別しないでほしい」と木下さん。「できないことが多くても思いやりをもって接するよう気を付けてほしい」と話す。

 市は一八〜二二年度の「市健康長寿のまちづくり計画」で、地域住民や企業、学校向けに講座を行い「認知症サポーター」を増やす方針。五年間で約七万五千人に理解を広げる計画だ。

◆ワンポイントアドバイス 「家族以外とも交流を」

 加齢による体の衰えと、脳機能の低下で生活に影響が出る認知症高齢者は外出頻度が少なくなりがち。家族以外との交流は、症状の進行を遅らせる一助にもなる。静岡市では福祉施設など二十二カ所で月数回、認知症高齢者や家族が集える「認知症カフェ」がある。

 静岡市葵区与左衛門新田の特別養護老人ホーム楽寿の園では、二〇一七年から月一度、認知症カフェを開催する。認知症高齢者や家族ら数十人が参加し、理学療法士や看護師など毎回違う講師が症状の進行を遅らせる工夫を話したり、参加者同士でゲームをしたりして、知識や交流を深める。

 十月は管理栄養士が「バランスの良い食事は体にいい」「総菜ばかりでは献立も栄養も偏る」などとアドバイス。集まった高齢者は積極的に質問するなど和やかな雰囲気で進んだ。

 二年前から母・ヨシ子さん(86)と参加している葵区幸庵新田の小泉都志子さん(63)は「母は外に出る機会を楽しみにしているし、知識を得られて介護の手助けになる」と評価した。

(牧野新)

<くらしの知恵袋は今回で終わります>

 

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