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くらしの知恵袋

「森のようちえん」人気 生きる力、自然が育む

手作りテントの骨組みにする竹を運びだす子どもたち=浜松市天竜区龍山町で

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 自然の森や里山を幼児教育の場に活用する「森のようちえん」が人気だ。欧州発祥で自然から生きる力を学ぶ幼児教育の手法として導入され、県内でも同様の取り組みが広がっている。

 浜松市天竜区龍山町の標高約六百メートルにあるキャンプ場「龍山秘密村」。園児と児童が竹やぶに入り、手作りテントの骨組みに使う竹をのこぎりで切り倒す。村長の川道光司さん(41)が「力を入れ過ぎないで」と助言する。磐田市の小学四年鈴木湊人君(9つ)は「木を切ったり冒険したりが楽しい」。高さ七メートルほどの竹を五人で運んだ。

 二年前の本格開業を機に「こどもひみつむら」(一回千円など)を始めた。春−晩秋に月一回、川遊びやバーベキュー、釣りなどさまざまな体験ができるほか、自由に遊ぶこともできる。人気があり、ことしは定員を増やしたが前期の四十人余がすぐに埋まった。

 小学一年の長男、年少児の長女を連れてくる磐田市の望月沙登美さん(40)は「何かを与えなくても考えて遊べる力がついた。友達付き合いも上手になった」と子どもの成長を実感する。自然の中で遊べる場が自宅近くにないといい、浜松市南区や愛知県新城市から一時間以上かけて通う親子もいる。

 森林保全を担う掛川市のNPO法人時ノ寿(ときのす)の森クラブも二〇一六年から、市内に整備した森林で「森のようちえん」を始めた。月二回(十回三万円)、まき割りや森の散策、川遊びなど季節に応じた活動で、森林の活用にもつなげている。担当の大石淳平さん(29)は「徐々に問い合わせが増え、ニーズもある」。遠くは浜松市北区の参加者もいる。

 近年はスマートフォンやタブレット端末が子どもにも急速に浸透し、外遊びの機会を奪う原因と指摘されている。「スマホやゲームでしか遊べないから」と懸念し、子どもを連れてくる保護者もいて、人気の背景になっているとみている。

◆ワンポイントアドバイス 見守る大人は安全確保を

 1980年代から長野県で取り組みを始めた国内の先駆者で、NPO法人森のようちえん全国ネットワーク連盟の内田幸一理事長(65)は「自然の中でさまざまな負荷がかかることで主体的に行動を起こし、人間関係もつくれるようになる」と効果を指摘する。

 幼児の自律的、主体的成長を促す点でこれまでの幼児教育の目指すところと違いはないとしつつ、活動を通じて身のこなしがよくなり、花や虫などにも関心が向けられるという。

 全国各地で年間数十回の講演や研修会を開く。見守る大人には安全確保のため活動場所を下見し、事故のリスクに対処してほしいと助言する。その上で、多少のけががあっても神経質にならず、子どもに任せることで対応力が身に付いていくと話す。

(島将之)

 <森のようちえん> 北欧のデンマークで1950年代、母親が子どもを森に連れ出して保育したのが始まりとされる。欧州で広がり日本でも近年、普及が進む。国内の約200団体が加盟するNPO法人森のようちえん全国ネットワーク連盟によると、自然体験を軸にした幼児保育の総称で、森のほかにも海や川など幅広い自然環境での活動に当てはめて使われる。

 

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