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くらしの知恵袋

「もしもの時 望む医療 話し合う」 家族の絆、深める契機に

県と市民団体が制作した地域医療に関するパンフレットにはACPの紹介もある=県庁で

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 死を目前にすると約七割の人が、治療法を決めたり、人に希望を伝えたりできなくなる−。自分が望む医療やケアを事前に考え、周囲の人と話し合う「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)」が医療分野で広まりつつある。「終活」と結びつけて考えられがちだが、家族のコミュニケーションを深めるきっかけにもなる。

 厚生労働省が制作した「これからの治療・ケアに関する話し合い−アドバンス・ケア・プランニング−」ではACPを五つのステップに分けて紹介している。

 ステップごとに自分の価値観を見つめ直す設問がある。「もし生きられる時間が限られているとしたら、何が大切か?」の答えは、「家族や友人のそばにいること」「仕事や社会的な役割が続けられること」などの選択肢から選ぶ。

 希望する治療法を具体的に考える項目もあり、家族や親しい友人、医療従事者と共有し、万が一には自分に代わって医療方針を判断する材料にしてもらう。

 県医師会の小林利彦理事(61)は、ACPが普及する背景を、「早期の社会復帰を見込んで入院が短期化し、病院と患者が信頼関係を築く時間が減ってきている。患者の意思を反映した治療をするために、家族や信頼できる人の協力が求められている」と指摘する。

 文章にまとめずとも、結婚した時、子が生まれた時などをきっかけに、家族で話し合うのもよいという。

 厚労省は昨秋、ACPの愛称を「人生会議」と公募で決めた。考案した聖隷浜松病院の看護師、須藤麻友さん(29)は「意思表示ができない時に代弁者になりうるのは家族だと思い、『家族会議』という言葉を人生に置き換えた」と話す。

 須藤さんは「ACPを看取(みと)りにだけに結びつけるのではなく、生きるための治療につながると考えてほしい。会話が増えるきっかけになり、その中で相手の価値観や生きがいを理解できるようになって」と願う。

◆ワンポイントアドバイス 「小冊子で事例紹介 島田市など」

沼津市が制作したマイエンディングノート(右)や島田市の小冊子

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 県が地域医療を支える市民団体と作った小冊子で取り組み事例を紹介するなど行政もACPを推進する。

 沼津市は昨年十二月、A4判の冊子「マイエンディングノート」を千五百部作り、市役所などで希望者に配布している。自分の趣味や宝物を記入する欄や、病気の時には「病名・余命を告知してほしい」「家族等にまかせる」などの答えを選ぶ項目もある。

 島田市では、「もしものときの医療に対する希望」を書き込む小冊子を二〇一四年度に制作した。小冊子から切り取り、財布などに入れて持ち歩ける名刺大の意思表明カードも付いている。

 ACPに関する話し合いや記述に法的な拘束力はない。心身の状態に応じて意思は変わることもある。普段から繰り返し考え、話し合うことを推奨している。

(岸友里)

 

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