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くらしの知恵袋

要介護者らの暮らしメーク 福祉理美容師

利用者とコミュニケーションを取りながら髪を切る小林はるみさん(上)=磐田市内で

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 介護が必要な高齢者や障害者らに、安全で充実した理美容サービスを提供する「福祉理美容師」が、注目されている。利用者が安心して髪を切ったりメークを楽しんだりすることが、生きがいや元気を取り戻すきっかけになるという。長年にわたり看護職を経験後、福祉理美容師として活動する小林はるみさん(54)=磐田市東名=に、施術サービスの効果を聞いた。

 「鏡に映った自分を見つめるお年寄りの表情が、ずんずん笑顔に変わってくるんですよ。きっとうれしいんでしょうね」。定期的に八十代女性の髪を切る小林さんは、認知症が進む女性の心の変化を肌で感じるという。「美しくありたい、自分らしく過ごしたい、という気持ちが、心の治療にもつながる」と話す。

 福祉理美容師の仕事は、要介護者の自宅や施設などを訪問し、カットやシャンプー、パーマ、毛染めといった美容サービスを施す。介護の知識が必要で、利用者が安心してサービスを受けることができる。認知症の高齢者のほか、まひなどの障害者、人とのコミュニケーションが苦手な子どもらにも対応する。

 小林さんは約二十年、看護師として勤務。美容による癒やしや心のケアの効果に関心を持ち、五十歳で美容師免許と福祉理美容師の資格を取得した。医療現場の経験から、「病院とは違う気軽なコミュニケーションを心掛け、利用者や家族の悩み、愚痴なども聞くようにしています」と語る。

 現在、自宅敷地内の倉庫を改修し、福祉理美容に特化した美容室「ハミングステーション」の開店準備を進めている。バリアフリー設計で、プライバシーに配慮した個室や車いすに乗ったままサービスを受けられる工夫などを施す計画だ。

 小林さんは、これから同様の美容室や理髪店が増えると予想する。「地元のお年寄りの健康寿命を延ばし、みんなの居場所となる『まちの保健室』を目指したい」。料金はカット三千二百八十円、パーマ五千四百円。(問)小林さん=080(3767)7807

◆ワンポイントアドバイス 訪問サービス 需要増

 福祉理美容師になるためには、理美容師免許に加え、NPOや厚生労働省認定の協会などの団体が発行する資格が必要。各団体の講座や実技などを受講することで資格が得られる。

 訪問理美容サービスは、高齢化が進むことで、在宅介護の家庭や高齢者用グループホーム、老人ホームからの利用者が増えている。サービス内容は通常のヘアサロンと同じく、カットやシャンプー、パーマ、ヘアカラー、白髪染めなど。利用者の状況に応じた場所で、希望するメニューを施術する。

 メークやネイル、エステのメニューもあり、利用者の生きがい向上に貢献する。福祉理美容師の資格がなくても訪問サービスは可能。

 全国の自治体は、要介護者らに訪問理美容サービスの補助制度を設けている。磐田市では、理美容師の出張費(一回二千円)を年四回、補助している。二〇〇六年の補助開始から、年々利用者が増加し、一七年には二百人以上が利用している。市担当者は「利用者や家族から好評で、今後もサービスの幅も検討して継続していきたい」と話している。

(夏目貴史)

 

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