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イチ推し

茶葉入り加工食品続々 肉と魚が茶業を救う

◆需要減に危機感、有志奔走

茶葉を混ぜ合わせたローストビーフやはんぺん、ソーセージ、シューマイなど=西沢広保さん提供

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 静岡市で、ソーセージやはんぺんといった地元産の肉や魚の加工食品に茶葉を加えてうま味を引き出し、付加価値を高める試みが進んでいる。使われているのは、需要の減少に伴って生産量が減っている一キロ数万円の特産、高級茶葉。異業種の有志が連携し、お茶農家の保護と新たな市の魅力づくりに奔走している。

 旗振り役は、高級瓶詰茶を製造販売するベネフィッティー(静岡市葵区)の西沢広保社長(54)。今春、市内で精肉店を営む知人がブランド牛「しずおか和牛」を使ったローストビーフを商品化した際、西沢さんの元に報告に訪れたのがきっかけだった。

 料理人の裏技として肉料理の臭み消しに茶葉を使うことを知っていた西沢さんが「静岡らしく茶葉を使っては」と提案。茶葉入り製品に何度も失敗していた知人は懐疑的だったが、西沢さんが扱う苦味を抑えてうま味を凝縮した茶葉を試食すると、考えが一変した。

JR静岡駅のお土産店前で観光客に茶葉入りローストビーフなどの試食を勧める西沢広保さん(右)=静岡市葵区で

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 試作品を各地の試食会で出したところ、「肉の臭みが消えてうま味が深まり脂もさっぱり」と販売を望む声が殺到。仲間を集め、お茶を飲んで育てた静岡市のブランド豚を使った粗びき煎茶入りウインナーや、地元で取れた魚「しずまえ鮮魚」に茶葉を混ぜたはんぺんなど、地域密着商品を続々と開発してきた。そんな西沢さんの原動力には、地元茶業を巡る危機感がある。

 静岡の茶畑は山間地にあり、生産量で肉薄する鹿児島県のように平地での大量生産ができない。「静岡茶が生き残るには少ない面積で高価格帯の茶葉を作るしかない」と話すが、過去二十年で県内一番茶の価格帯別取り扱い割合は、一キロ千円未満が12・9%から31・9%に増えた一方、一キロ七千円以上は2・1%から0・4%に減少している。

 西沢さんは「お茶を使ったお菓子は数あれど料理は少ない。世にない商品を生み出すことで付加価値を生み、後継ぎ問題などに悩むお茶農家に高級茶需要を還元したい」と活路を見いだそうとしている。

 こうした動きを市も歓迎。農業政策課の担当者は「お茶の消費量を上げる試みとして市としても商品PRを手伝いたい」と話す。商品はJR静岡駅のグランドキヨスクなどで販売中。(問)ベネフィッティー=050(3478)5121

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五十幡将之記者(静岡総局)

 埼玉県生まれの28歳。8月に愛知県から静岡総局へ異動した。取材を通じて高級瓶詰茶を飲む機会に恵まれ、お茶の苦味と渋味の奥に隠れた和風だしのようなうま味に令和時代一番の衝撃を受けた。西沢さんが「お茶は地上の昆布」と表現するこの味を記事で伝えきれないことが歯がゆい。

 

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