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イチ推し

東海大海洋科学博物館 巨大水槽 間近でウォッチ

◆映えるクマノミ / ごみ問題も提起

エイやサメが泳ぐ巨大水槽=静岡市清水区で

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 巨大水槽が自慢の東海大海洋科学博物館(静岡市清水区)は来年五月、開館五十周年を迎える。三百六十度全方向からサメやアジの群れを眺められる水槽の前では、大人も子どもも関係なくテンションが上がるようだ。海洋資源や環境問題など「海の科学」をテーマにした国内有数の博物館として知られる同館を訪ねた。

 開館は一九七〇年。東海大創立者の松前重義氏(一九〇一〜一九九一年)が、研究成果を分かりやすく、広く伝える目的で開いた。駿河湾の生き物を中心に四百種、五千匹を飼育し、県内外から年間十六、七万人が訪れる。

 開館当初から目玉は、縦横十メートル、水深六メートルの八面体の水槽から成る「海洋水槽」。サメやエイ、アジの仲間の群れが悠々と泳ぐ様子は壮観で、「おぉ」と感嘆の声を漏らす来場者もいる。水槽の下に通路があり、小窓から海底の岩陰に潜む生き物を観察できるのも特徴だ。

 近づいてくるサメに目を奪われていた愛知県豊橋市の小学四年生、大森慶次郎君(10)は「めっちゃでかくて驚いた」と興奮気味。弟の誠次郎君(8つ)は「水槽を見たとき『ワッ』って声が出た」と笑顔を見せた。

「インスタ映え」と話題のクマノミコーナー=静岡市清水区で

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 その先には、「インスタ映え」することで話題のクマノミコーナーが待ち構える。クマノミの仲間約十五種を展示。中心にある円柱形の水槽では、一番人気のカクレクマノミが泳ぎ回る。二〇〇三年公開のディズニー映画「ファインディング・ニモ」で一躍ブームとなった魚で、子どもたちは「ニモだ!」と歓声を上げていた。

 四十二年前、世界で初めてカクレクマノミを卵から育てることに成功したのがここ。繁殖に力を入れ、卵や生まれたばかりの赤ちゃんを見ることもできる。

 ヒトデやナマコなどに触れる「タッチプール」も人気。休日は東海大海洋学部の学生がボランティアで案内役を務める。一年生の友弘希さん(18)によると、多い質問は「ひっくり返ったヒトデは自分で元に戻れるの?」だといい、「実際に見て学んでほしいので、裏返して観察してもらう。予想しない疑問を聞かれることもあるので、私も新しい知識が増えます」と話す。

 華やかな魚の世界に注目しがちだが、早くから海のごみ問題を取り上げてきた一面も。近くの海岸では、深海魚「ミズウオ」が生きたまま打ち上がることもあり、解剖して胃の内容物を調べている。

「ミズウオ」と胃の中から出てきたプラスチックごみ=東海大海洋科学博物館提供

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 ミズウオは目の前に来たものをガブッと丸のみしてしまう習性があり、消化できなかったポリ袋やマヨネーズの容器とみられるプラスチックごみが出てくることも。同館によると、人工物が見つかる割合は、一九六四〜八三年に平均62%だったが、二〇〇一〜一九年(六月末時点)は72%に上昇。海中まで汚染が進んでいることが分かる。イベントや学校行事で解剖を見学してもらう機会も設けている。

 広報担当の金子史世さん(45)は「楽しいだけで終わらないよう、学びを深められるようなコンセプトをちりばめている。駿河湾にいる身近な生き物をきっかけに海洋科学に興味を持ってほしい」と話している。

 (問)東海大海洋科学博物館=054(334)2385

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岸友里記者(静岡総局)

 ファインディング・ニモの公開当時、超満員の映画館で立ち見した記憶がある。かわいらしいイメージが定着しているカクレクマノミには、より多くの子孫を残すための工夫が。幼魚のうちは性別がなく、群れで一番大きい個体が雌、次に大きいのが雄になり、ペアを組むそうだ。生き物たちの知恵が学べるのも魅力だ。

 

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