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イチ推し

電動キックボード普及へ 公共交通縮小 打開策に

◆「免許、ヘルメット必要」法の壁

電動キックボードの操作方法の説明を受ける松島記者(左)=浜松市北区で

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 公共交通サービスの縮小など地方の課題を解決しようと、ベンチャー企業「Luup(ループ)」(東京)が浜松市の協力を得て、電動キックボードの可能性を探る実証実験を同市北区の「はままつフルーツパーク時之栖(ときのすみか)」で始めた。海外では新たな交通手段として注目を集めているが、国内でも地域住民や観光客の足になり得るのか。記者が体験してみた。

 電動キックボードは、見た目は従来のキックボードと変わらないが、ハンドルの右にアクセル、左にブレーキが付いている。ボードを蹴り出してアクセルを押し込んで発進する。最高時速は二十キロ前後で、一回の充電で走行距離は約四十キロに上る。

 ループ社によると、米国やドイツ、シンガポールではシェアリング(共有)サービスとしての普及が進み、日常生活や観光スポット巡りなどの際の足として活用されている。一方、日本では導入が進まない。その理由に挙げられるのが法規制だ。道路交通法でミニバイクと同じ扱いになり、運転免許が必要となる。ナンバーや方向指示器などを装備し、ヘルメットをかぶって乗らなければならないため、利用は私有地などに限られる。

 実証実験の狙いは、安全性や利便性を証明し、規制緩和を目指すことにある。実験はフルーツパーク内にとどまるが、ループ社の岡井大輝社長は「安全性を証明して、いずれ公道でも実験を行いたい」と語る。

 試しに乗ってみた。最高時速は十五キロに抑えられていたが、意外とスピード感があった。最初は少し怖かったが、慣れれば操作も簡単で、風を切る爽快さを味わえた。ただ、砂利道では不安定になることもしばしば。カーブを曲がる際は大回りしなければならないので、基本的に自転車と同じと考えた方がいいだろう。

◆慣れれば簡単だが安全性課題

 スピードもそれなりに出るので、人混みや死角の多い街路では衝突のリスクもある。運転免許やヘルメットとまではいかなくても、新たなルール整備が必要ではないかと思った。

 そもそも浜松市が電動キックボードに目を付けた背景には、深刻な公共交通の縮小がある。運転手の確保が難しくなったとして九月末には北部のバス三路線が廃止される。人口減少に伴って採算が合わない公共交通が追い込まれている。

 市によると、外出する際に公共交通を利用した市民の割合は4・4%で、政令市で最も低い。人身事故率は十年連続で政令市最悪となっており、公益財団法人「交通事故総合分析センター」(東京)は、公共交通の整備が遅れていることを一因に挙げている。

 鈴木康友市長は「さまざまな移動手段を確保するための可能性を探りたい」と期待を込める。実証実験の終了時期は未定で、一回二十分間、五百円で体験できる。

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松島京太記者(報道部)

 初任地である浜松市に来てから2年がたち、車中心の生活で近所のコンビニに車で行くことも。「電動キックボード」と聞いた時、某少年名探偵の道具を思い浮かべて身構えたが、意外と簡単に乗れてホッとしている。確かにヘルメットなしなら気軽に乗りたいかもしれない。

 

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