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静岡写真ニュース

迫力の糸切り合戦 浜松まつり2日目

威勢のいい掛け声の中、各町の糸切り合戦で盛り上がる浜松まつり=4日、浜松市南区の凧揚げ会場で(袴田貴資撮影)

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 浜松まつり二日目の四日、浜松市南区の凧(たこ)揚げ会場では迫力満点の糸切り合戦が繰り広げられた。

 十町ほどが糸をからませた一幕では、「オイショ」の掛け声とともに熱気が高まり、汗を飛び散らせながら糸を引っ張り合った。

 強風で飛ばせない凧も出た前日とは打って変わり、この日はなかなか強い風が吹かない時間も。凧揚げに苦労し、何度も場所を変えながら試行錯誤する町の姿も見られた。

 まつり組織委によると四日は凧揚げ会場に二十八万人、御殿屋台の引き回しに三十一万人、関連の催しに十万四千人の計延べ六十九万四千人の人出があった。

◆千歳町「天狗連」 外国人30人が汗

力を合わせて凧の糸を引く外国人参加者=4日、浜松市南区の凧揚げ会場で

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 「和」のイメージが強い浜松まつりだが、浜松市中区の千歳町「天狗(てんぐ)連凧揚会」では四日、三十人余りの外国人が凧揚げや練りに参加し、異彩を放った。二〇一一年の東日本大震災を機に広がったという世界の「輪」が、人口流出に悩む町を盛り上げている。

 米国、カナダに英国、フィリピン、ブラジル…。同じ天狗の法被に腕を通し、凧揚げの手伝いから御殿屋台の配置準備までこなす。四日は計十五人が糸を引いた。市内に住むスチュワート・パターソンさん(29)=オーストラリア出身=は「みんなが一体になれる感じが好き。浜松まつりに参加してさらに浜松が好きになった」と笑った。

 JR浜松駅に近く、古くから続く飲食店も多い千歳町。近年は家業を継がずに郊外へ出るケースが増える一方、地価が高額なため新住民増は望めない。最盛期に二千五百人を数えた浜松まつりの参加者は最近、六百人ほどに落ち込んでいる。

 そんな中、外国人を呼び込むきっかけとなったのがマーティン・ギビンズさん(45)=同=だ。同市で英語講師として働くかたわら、週末はバーを開く。一九九三年に同市に移り住み、千歳町の知人を通じて浜松まつりに参加するようになった。

 数人の友人と誘い合うだけだったが、東日本大震災の影響で浜松まつりが中止になったことを受け「お世話になっている浜松を盛り上げよう」と決意。バー経営で広げた人脈や会員制交流サイト(SNS)で勧誘を始めた。参加ワッペンの購入窓口になるなど、取りまとめ役も引き受けた。

 一四年には日本語に堪能で民俗学を研究するサイモン・ジョンさん(42)=同、横浜市=が外国人グループの通訳や陣頭指揮を務めるようになり、言語面のハードルも低くなった。

 天狗連の幹部らは「貴重な担い手になってくれてありがたい。ほとんど関わりのなかった地域の外国人との交流も増えた」と歓迎。帰国後、天狗連のメンバーを結婚式に招く人もおり、浜松まつりは日本人と外国人コミュニティーの絆を深めることにも役立っている。

 凧揚げを終えたギビンズさんは酒を酌み交わす多国籍な輪の中で「もっと外国人を増やして、日本人と仲良くなってほしい」と赤ら顔をほころばせた。

◆フランス人和凧研究者に聞く 

浜松まつりについて語るセシル・ラリさん=京都市の国際日本文化研究センターで

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 浜松まつりを外国人にアピールするにはどうすればいいのか。和凧の研究者として何度も浜松を訪れ、浜松まつりへの参加経験もある国際日本文化研究センター(京都市)の外来研究員、セシル・ラリさん(39)=同市在住、フランス出身=に聞いた。

 浜松まつりは規模の大きさや歴史の長さもあって、海外の和凧研究者や愛好者には、とても重要でよく知られたイベント。ただ、和凧自体も含め、残念ながら一般的な知名度はまだまだ。自分が参加した時も外国人が多いとは思えなかった。大きな可能性を持っているのに実にもったいない。

 新幹線で最寄り駅を訪れることができ、スムーズな動線で凧揚げ会場に向かうシャトルバスを整備、朝と夜で全く違う趣向の日本らしさが色濃く残る。外国人からみると抜群の条件がそろっている。大凧や、市街地に御殿屋台が並ぶ物珍しさのインパクトは青森のねぶた祭にも劣らない。

 子どものために凧を揚げるという精神性も珍しい。新潟市の「白根大凧合戦」など子どもの名前を入れた凧を揚げる祭りがでてきたが、明らかに浜松を意識しているように感じる。

 知名度不足の要因は、インターネット上の英語情報の少なさでは。アルファベットで検索しても公式サイトは上位に表示されない。公式サイトの英語版のボタンを押すと簡素なPDFファイルに飛んでしまう。

 パリの旅行代理店のパックの中にも、浜松まつりを見たことがない。ちゃんとPRできれば、海外の代理店が手配できるだけの条件はそろっている。海外とのコネクションづくりやアピールを頑張ってほしい。

(酒井大二郎)

 

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