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石巻復興、見届けたい 岡部さん奔走4年

団地の造成や堤防の建設が進む宮城県石巻市を紹介する岡部真道さん=同市で

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 東日本大震災による津波で平野部の三割が浸水した宮城県石巻市で、元湖西市市民経済部長の岡部真道さん(64)は、高台へ住宅を移す街の再生に奔走してきた。定年後に湖西市から派遣され三年、自ら残り石巻市職員となって一年。市民の新たな一歩を応援する住宅整備の仕事で役に立ちたいと、復興事業が一段落するまでとどまるつもりだ。

 太平洋から入り組んだ湾を抱く石巻市東部の雄勝(おがつ)町。すずりで知られる小さな町にも十六メートルの津波が襲った。今、海沿いでは高さ九・七メートルの防潮堤整備が進み、工事車両が行き交う。

 「八年は長くもある。市外に避難した人は、そこで生活の基盤を築きつつある。戻りたくても、戻れない人もいるからね」。沿岸から近い海抜二〇メートルの高台に三十軒ほどが造成された住宅団地から眼下を眺め、岡部さんはつぶやいた。

 団地造成は震災の二年後から市内六十五カ所で始まり、昨年三月末にほぼ完了したが、空いている住宅や土地が残り、戻れない住民がいることを物語る。

 震災当日、都市計画課長だった岡部さんは、庁内テレビで津波の映像を見た。気づくと泣いていた。「何か役に立てるはずだ」。湖西市の派遣は役職者は除外。定年を待ち、再任用で派遣がかなった。

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 仕事は、石巻市集団移転推進課で、団地の測量や登記。造成後の確定測量に立ち会い、土地の境界を記す作業も手伝った。

 集団移転推進課の大壁勇彦課長が「誰とでもすぐ関係を築ける」と評する懐の深さで職員らとも打ち解けた。地権者宅を回る中、多くの人から津波の恐ろしさを打ち明けられた。高齢女性宅では「寂しいから帰らないで」と手料理を振る舞われた。「皆さん、心の痛みをこの先も背負っていくのだろう」と寄り添う。

 それでも、団地に洗濯物が干してあるのを見ると、人々の生活が戻りつつあることを実感した。今は、市中心部復興のための区画整理事業で、分譲地の所有権移転登記事務を担う。

 妻を残し単身で暮らした四年間、ホヤやアワビといった豊富な海産物など石巻の魅力にもひかれた。「湖西より寒いけど、平気だよ。第二のふるさとになっている。静岡の多くの人に東北の地を訪れ、街の復興の今を知ってほしい」。南海トラフ地震がいつ起こるかもしれない故郷の人たちに忘れないでほしいと願う。

(片山さゆみ)

 

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