トップ > 中日新聞しずおか > 静岡写真ニュース > 記事

ここから本文

静岡写真ニュース

若者のアイデアを希望に 浜松市職員、大船渡で起業支援

商業施設やホテルが建ち復興が進む街を背に、1年間の派遣の思い出を語る加藤悠祐さん=3日、岩手県大船渡市で

写真

 東日本大震災で大きな被害を受けた東北地方の自治体には、今も全国から地方公務員が業務の応援のために駆けつけている。昨年四月、岩手県大船渡市に派遣された浜松市職員の加藤悠祐さん(29)もその一人。起業支援にかかわり、復興には若者のアイデアが大切なことを感じた。

 加藤さんは昨年四月から一年の任期。大船渡市起業支援室で、起業を考える人向けの講座や女性起業者の交流会、新しいビジネスプランを生み出すコンテストを手掛けた。

 二〇一一年三月十一日、大学三年だった加藤さんは東京都府中市のアルバイト先で大きな揺れに遭った。交通機能はストップし、川崎市多摩区の自宅まで四時間かけて歩いて帰ったが、被災地を訪れたことはなかった。一度は就職したが一五年、浜松市に採用され、市街地整備課に配属。同課の先輩職員が毎年、被災地に派遣されているのを見て「貴重な経験をしたい」との思いが募った。

 昨春、バスから降り立った大船渡の町は復興が進みつつあった。大船渡駅前には新しい住宅やホテル、商業施設が並ぶ。この一年間で市防災観光交流センターが駅前に開設し、近くでは公園の整備も進む。

 町の復興が進む一方で、親しくなった住民たちが、ふとしたときに八年前の出来事をぽつりと打ち明けることがある。相手を思えば思うほど、耳を傾けることしかできなかった。「みんな震災を転機として今を歩んでいるんだ」と感じた。

 仕事をする中、「若者たちが復興を担う希望」と考えるようになった。一月にあったビジネスプランコンテスト。大船渡高校の生徒四人は震災後に造られた防潮堤をアートとして彩り、地元や観光客が訪れるスポットにし、防災意識を高める案を出していた。「高校生にも震災の記憶は受け継がれ、地元の将来をしっかりと見据えている」と胸を打たれた。

 四月には故郷の浜松に戻る。震災のこと、復興する姿をどんな形でもいいから伝えたいと思っている。「大船渡のように若者の発想を生かし、浜松を良いまちにする手助けをしたい」と思いをはせる。

 <静岡県内自治体の派遣職員> 東日本大震災発生から2018年度までに、県職員と市町職員延べ約700人が被災地に派遣された。18年度は岩手、宮城、福島県内で計36人の職員が活動。浜松市は11年7月から大船渡市、宮城県石巻市、仙台市に計75人を数カ月〜1年の任期で派遣した。

(坂本圭佑)

 

この記事を印刷する

PR情報

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山
地方選挙

Search | 検索