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中日レディーズサロン

第207回 作家 下重 暁子さん 「年齢を捨てなさい」

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 第二百七回中日レディーズサロン例会(中日新聞東海本社主催)が九月十一日、浜松市中区のホテルコンコルド浜松で開かれ、作家の下重暁子さんが「年齢を捨てなさい」と題して講演した。

 浜松といえば、私がNHKに入ったばかりの頃、生中継が大失敗に終わったことを思い出す。「暑さにめげず働く人々におくる音楽会」という番組で、浜松駅前の「自笑亭」でウナギを焼く人をインタビューするというもの。音声などのトラブルが重なって、東京側からの呼び掛けが全く聞こえず、私のポケーッとした顔が流れるばかり。入念な準備の末の“大事故”に悔しくて寮に帰って大泣きした。

 当時、私は二十三歳。現在八十三歳だが、体力も頭の回転も自覚している年齢は六十代。むしろ還暦を一つの区切りに新しい人生が始まったと考えると、今はあの時と同じ二十三歳だ。今から何でもできる、そう考えた方がずっと人生は楽しい。

 年齢には、実年齢と自分で自覚する年齢の二つがあると思う。日本の社会は何でも実年齢でくくろうとするし、それを意識すればするほど衰えていく。そんなものは捨てちゃえばいい。「私はいくつだからもう…」なんて言うほどつまらないことはない。

 本当に大事なのは自分の中の年齢を作り上げ、自分で人生を決めていくこと。日本では「同調すればいい」となりがちだが、これが一番良くない。みんなに合わせても、死ぬときは一人。人に期待をしては駄目。期待は自分にするもの。孤高は格好いいもので、孤独であることは自分自身を知ることだと思っている。

 私は最近になってようやく「元NHKアナ」ではなく、物書きとして認められるようになった。これからの人生、書きたいものがいっぱい。楽しみでしょうがない。皆さんも今いる人生をはつらつと自分らしく生きてほしい。それができないと何も開けてこない。

 しもじゅう・あきこ 宇都宮市出身。早稲田大を卒業して1959年にNHKに入り、アナウンサーとして活躍。68年、フリーアナウンサーに転身した。民放のキャスターを経て文筆活動に注力。「家族という病」「極上の孤独」などの著書がある。日本ペンクラブ副会長、日本旅行作家協会長などを務める。2018年4〜6月には中日新聞夕刊で「この道」を連載した。

 

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