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中日レディーズサロン

第190回 料理研究家 土井 善晴さん 「旅と人 出会いから学んだ食文化論」

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 第百九十回中日レディーズサロン(中日新聞東海本社主催)が十一月十四日、浜松市中区のホテルコンコルド浜松であり、料理研究家の土井善晴さんが「旅と人 出会いから学んだ食文化論」と題して講演した。

 和食は「目で食べる」という。「景色がある」ともいう。美しい物はおいしい。例えばお造りの盛り付けには日本人の美意識がある。料理の鮮度に私たちは仕事の確かさを見ている。哲学の「真・善・美」を日本人は「きれい」という一言で表す。

 パリの一流レストランでは、鳥肉とカモ肉をつなぎ合わせて焼いた料理や、豚肉のぼうこうに鳥肉を包んで焼いた料理が出される。

 日本人の食文化は、昔ながらの暮らしの中にある。新潟県では田植えの時に朴葉(ほおば)めしを食べる。その場でカヤの木を削って箸を作る。糸魚川にいるナス漬けの名人を訪ね、おいしさのこつを尋ねたら「朝露の乾かぬうちに漬けるから」と言った。

 スペインのバスクには、塩漬けのタラをオリーブ油で揚げた料理「ピルピル」がある。一〜二時間かけて揚げると油が乳化する。日本には油を食べる歴史がないが、油は食べ物なのだと気付かされる。

 キューバに行った時のこと。自分で豚肉を焼き、目玉焼きを作った。マンゴーを半分に切ってスプーンですくって食べた。どれもこれまで食べた中で一番おいしかったのに、レストランには、これらの食材を生かす料理がなかった。

 家のご飯を食べているから、外国でも生きていける。いろんなことに自分で気付くことができる。しかし、この力が若い人たちにだんだんなくなってきていると思う。自分の感性より消費期限の数字を信じたり、ネットに書いてあるから「おいしい」と言ったり。

 日本人がぜいたくになり、メインディッシュを作ることが料理になった。昔のお母さんは農作業しながら作れる物を作ってきた。それが一汁一菜。申し分のない食事。簡単なことを丁寧に、簡単なことをきれいに整える。そうすると生活が豊かになる。それが原点だ。

どい・よしはる 1957年、大阪府生まれ。料理研究家の故土井勝さんの次男。芦屋大卒業後、スイス、フランス、大阪で修業。料理学校勤務を経て、92年に東京に「おいしいもの研究所」を設立。NHK Eテレ「きょうの料理」などでレギュラー講師を務める。著書「一汁一菜でよいという提案」が発売中。

 

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