トップ > 静岡 > 東海本社 中日懇話会 > 懇話会一覧 > 記事

ここから本文

東海本社 中日懇話会

第439回 消費生活ジャーナリスト 岩田 昭男さん 「キャッシュレス社会の現状と未来」

写真

 第四百三十九回中日懇話会が十月二十三日、浜松市中区のグランドホテル浜松であり、消費生活ジャーナリストの岩田昭男さんが「キャッシュレス社会の現状と未来」をテーマに講演した。

 クレジットカードや電子マネー、QRコード決済など、現金を使わずに支払いできるキャッシュレス化が進められている。斬新で便利な未来が開けていくように見えるが、私に言わせれば「パンドラの箱」が開かれた感じ。キャッシュレスが開く未来はバラ色とは限らない。

 ポイントの還元はキャッシュレス決済の大きなメリットの一つだ。一方で、顧客の囲い込みのための「おまけ」の位置付けだったポイントは、キャッシュレス決済を使うことで可視化される個人情報を得るための代価になりつつある。

 購入履歴などの情報を個人から預かり、集まったデータを他の事業者に提供して利益を獲得する「情報銀行」も出てきた。情報提供者にはその利益から「利子」が還元される。

 クレジットカードの返済履歴などの個人情報に会員制交流サイト(SNS)でのつぶやきなどまで加えたビックデータを企業が分析したものは「信用スコア」呼ばれる。より生活に密着した信用度の偏差値と言えるものだが、中国などではその活用方法に懸念が広がっている。スコアが悪いと住宅ローンの金利が上がったり、飛行機や高速鉄道の利用を断られたりすることもあり、就職や結婚などにも影響が出るという。

 個人情報規制の緩い米国では、クレジットカードの返済履歴を基にしたスコアが自由に売られている。キャッシュレス化が進んでいく日本の個人情報管理は大丈夫だろうか。厳しい規制を敷いている欧州に見習って個人の権利を守っていかないと、待っているのは(理想郷の正反対の)ディストピアだ。個人でもリテラシーを高めてキャッシュレス時代に備えてほしい。

 いわた・あきお 1952年生まれ、鳥取県出身。早稲田大大学院修了後、月刊誌記者などを経て独立。流通や情報通信、金融分野を中心に取材、執筆活動を行う。主にクレジットカード、電子マネー業界を30年間にわたって定点観測している。「キャッシュレス覇権戦争」など著書多数。

 

この記事を印刷する

中日新聞・北陸中日新聞・日刊県民福井 読者の方は中日新聞プラスで豊富な記事を読めます。

中日新聞しずおかの記事はこちら

新聞購読のご案内

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山
地方選挙

Search | 検索