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東海本社 中日懇話会

第437回 ジャーナリスト 富坂 聰さん 「米中激突の深層にある中国の台頭」

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 第四百三十七回中日懇話会が八月二十二日、浜松市中区のグランドホテル浜松であった。中国情勢に詳しいジャーナリストで拓殖大教授の富坂聰さんが「米中激突の深層にある中国の台頭」と題して講演した。

 貿易摩擦など米中の争いがメディアでも注目を集めているが、果たして米国が中国をたたけば日本が利益を得たり、抱える懸念が払拭(ふっしょく)されるのか。そんなことはないと、私は思う。

 例えば中国のスマートフォンには日本企業の部品も多く使われている。中国産のスマホに中国でつける付加価値は全体の4%ほど。96%分のお金は日本を含む外国の企業に払われているということ。輸出が減って受ける影響は大きい。近年では二カ月分の中国需要がなくなっただけで、史上最高益予想から減益に転じたような大企業もある。

 実は現状、日中間の政治的リスクは高くない。敵は何かと言えば、円高。米中の戦いが長引くほど半導体など日本の主力輸出品がダメージを受け、インバウンドも傷つく。早く戦いが収束しないと日本は大変厳しいことになる。

 さらに中国は「脱米」を図っている。(米製品の輸出禁止措置を受けている)通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)が象徴的だ。米経済圏から離れアフリカと中国を中心とした経済圏で生きていこうと。だから今アフリカにどんどん(通信)基地を造っている。

 第五世代(5G)移動通信システムでは「人と人」の通信以外に「モノとモノ」「人とモノ」の通信に特化して強くなる。スマホを持って最寄り駅を通過すると、自動で自宅の冷房のスイッチが入るような仕組みをイメージするとわかりやすい。そうなった時、アフリカの人がファーウェイのスマホと相性の悪い家電を欲しがるだろうか。

 そういう時代になった時、日本はどんな選択ができるか。これまで足し算引き算の四則演算で乗り切ってきた外交が、関数を使ってとかないといけないくらい複雑で難しいものになってくる。

 とみさか・さとし 1964年生まれ。愛知県出身。88年北京大中退後、週刊誌記者を経て2002年にフリージャーナリストとして独立。中国情勢、中国問題に関する取材を中心にリポートを発表している。14年に拓殖大海外事情研究所教授に就任。「龍の伝人たち」「トランプVS習近平」など著書多数。

 

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