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東海本社 中日懇話会

第434回 歴史家・作家 加来 耕三氏 「歴史に学び、未来を読む」

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 第四百三十四回中日懇話会が五月十三日、浜松市中区のグランドホテル浜松であり、歴史家で作家の加来耕三さんが「歴史に学び、未来を読む」と題して講演した。

 鳴かぬなら鳴くまで待とうホトトギスは、徳川家康の性格を表す言葉として使われるが、本来は織田信長に合う。勝てるまで準備を徹底した人だからです。もうひとつ。「人の一生は重荷を負うて遠き道を行くがごとし」は家康の遺訓として知られるが、これは明治に作られたのです。小説や大河ドラマが描く歴史ではなく、史実に根差して物事を考えてほしい。

 例えば、家康は三方ケ原の戦いで、負けた自分の姿を絵師に描かせたと言われているが、歴史学が重視するのはここ。乱世で生き残らなければと猛省し、自分を倒した武田信玄をまねて学んだのです。

 日本人に約三百年影響を与えたのは、古代天皇家と中世の藤原氏、近世の徳川家。藤原と徳川は、二代目が極めて優秀だったから続いた。徳川秀忠は、武家諸法度などを家康の名で公表するなど、中興の祖に対抗せず、三代目に盤石の体制を整えようとした。

 これは後継者問題で参考になるが、歴史学からはリーダーシップの答えも見える。大局観のある信長や豊臣秀吉より、家康が秀でたのは何か。寛容です。家康の長男の信康は、重臣を罵倒したため信長に切腹させられた。しかし、家康はその重臣を、徳川四天王に抜てきした。歴史上ないことだ。

 未来は過去と現在をつなぐ線上にしかないし、歴史は繰り返す。錯綜(さくそう)した現実に巻き込まれた時、企業なら創業の理念に戻り、ぶれを修正すれば倒産しない。皆さんが何か決断するとき、立ち止まって歴史学について考えてもらいたい。

 かく・こうぞう 1958(昭和33)年生まれ。大阪市出身。奈良大文学部史学科卒業。84年に同大文学部研究員。現在は大学や企業の講師を務め、NHKBSプレミアムの「英雄たちの選択」などテレビやラジオ番組にも多く出演している。「日本史に学ぶ一流の気くばり」「1868明治が始まった年への旅」など著書多数。

 

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