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浜松まつり

凧揚げの技、まつりの魅力を次代へ

巧みに大凧を揚げる八幡組の若衆ら=3日、浜松市南区の凧揚げ会場で

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 五日閉幕した浜松まつりでは今年もたくさんの凧が晴天を彩った。若者の祭り離れや参加者の減少が指摘される中、各町や組織委企画統制監理部(統監部)では凧揚げの技や、祭りの魅力を次世代へ伝えようと腐心している。

 ハトの印の大凧が風に乗り、他町の凧の隙間を縫い、ぐんぐんと舞い上がっていく。浜松まつり初日の三日、浜松市南区の凧揚げ会場で巧みに糸を操っていたのは、中区の八幡町「八幡組」の大学生稲葉心さん(21)らの若衆。全員が二十代で、ほとんどが統監部の「凧揚げ技術伝承会」で凧揚げの技術を学んだ。中学生の時から毎年のように会に参加していた稲葉さんは「技術はもちろん、勇気や自信を得られた場所」と振り返った。

 浜松まつり関係者によると、近年は都市化の影響もあり、市内で大凧を揚げられる場所は限られる。本番の凧揚げ会場は普段、サッカーグラウンドなどとしても活用され各町個別での確保は難しい。天竜川の河川敷も候補に挙がるが、道路が近いこともあり、「危ない」と苦情が寄せられたことがあるという。

 こうしたトラブルを避けるため、統監部が全町的な技術継承の場として設けたのが伝承会だ。十一月と二〜三月に計四日間、統監部が凧揚げ会場を貸し切って開催。二〇一二年ごろから毎年開かれ、各町は希望した日に自由に後進への指導にあたる。

 当初、伝承会に参加したのは浜松まつりで凧を揚げる百七十四町の半分ほどだったが、現在は百三十町近くに拡大。九十町が一堂に会する日もあり、本番に近い雰囲気の中で練習ができるようになった。

 八幡組の稲葉友亮組長は、「特に中高生が大凧を揚げる楽しさを知る貴重な機会になっている」と効果を実感。「失敗できない本番で実戦経験を積ませることは難しい。浜松まつりの凧揚げには教科書があるわけでもなく、簡単に言語化もできない。娯楽が増えた今は『もういいや』という子をいかに引き留めるかが問われている」と話した。

 伝承会を担当する統監部の鳥井徳孝さんは「これからの浜松まつりの存続のためにも、若い世代に凧に触れてもらえるようにしたい」と力を込めた。

◆蜆組「待ち合い酒場」 参加増へ交流の場

待ち合い酒場を訪れた町民に飲み物を手渡す泰沢組長(左)=5日、浜松市中区蜆塚で

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 浜松まつりで各町の共通した悩みが参加者減だ。今年、参加四十周年を迎えた浜松市中区の蜆塚町「蜆組」は、減少を食い止めようと、新たな催しやインターネットの活用などの工夫を続けている。

 五日夕、町内の神社に設けられた「待ち合い酒場」。浜松まつりに参加していない地元の女性が立ち寄り、軽食をつまんだ。今年初の試みで、町民なら自由に立ち寄れ、ビールやジュース、菓子などが無料で楽しめる。泰沢(たいざわ)友和組長(43)は「町民が祭りに関わろうと思える時間をいかに増やすかが大事」と力を込めた。

 町では最盛期八百人を数えたワッペン購入者が最近は半分ほどに。減少が目立ち始めた十年ほど前、危機感を強くしたのが、泰沢さんら地元で生まれ育った当時の中堅だった。

 転勤族も多い地区。参加を勧誘する中で気づいたのが、浜松まつり自体を知らない人が増えていることだった。知っているのが当然と思い込み、祭りの良さを伝える努力を怠っていた。「住民の祭り離れではなく、祭り衆が住民から遠い存在になっていた」

 年一回、直前に回覧で日程を知らせるだけだった「凧新聞」の発行回数を増やし、組や祭り情報を発信。会員制交流サイト(SNS)も活用し、若い世代にもPRしている。減少幅は随分と小さくなり、転勤族の参加者も珍しくなくなった。泰沢さんは「町民がちょっとずつ、祭りに関わって持続できる形ができあがっていけば」と前を向く。

(酒井大二郎)

 

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