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浜松まつり

先輩にささぐ緑の凧 子安町、初の手作り

緑の初凧を背に、長女悠月ちゃんを抱く袴田真之さんと妻友梨さん、次女海月ちゃん=浜松市南区の凧揚げ会場で

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 響き渡るラッパの音と勇壮な激練りとともに、浜松市内で三日に開幕した浜松まつり。さまざまな思いが込められた凧が南区の凧揚げ会場の空を舞い、日が暮れると豪華な御殿屋台が夜の街を彩った。市街地ではまつりを盛り上げるイベントも開かれ、観光客らを楽しませた。

 東区の「子安町」は、副組長の袴田真之さん(36)が仲間と作った娘二人の初凧を自ら揚げた。外注ではない初凧は、参加二十七年目で初めて。手作りにこだわり、色を緑にしたのには理由があった。

 参加初年度から組に加わった。夜の練りで騒ぐのが好きで、凧に興味はなかった。周りに「やんちゃ坊主」と言われたが、組の凧揚げを引っ張ってきた松島光浩さんと出会ってから変わった。

 六年ほど前、まつりで初めて凧を揚げた。力に自信があったが、凧は何度やっても揚がらない。すると、松島さんが近づいてきて「貸せ」とひと言。凧は見る見るうちに空を舞った。悔しくて、凧揚げ会入りを志願。松島さんを「先輩」と慕い、基礎から教わった。

 昨年三月、松島さんはがんで急逝。五十三歳。「成長した自分を見てほしかった」。折しも袴田さんの妻友梨さん(30)が長女悠月(ゆづき)ちゃん(2つ)と次女海月(みづき)ちゃん(九カ月)を出産。一緒に凧を学んだメンバーに協力を仰ぎ、凧揚げ会のメンバーらで初凧を作った。「松島さんの好きだった緑にしよう」。満場一致だった。

 この日、四帖(じょう)凧は無事に揚がったかに見えたが、風にあおられ真っ逆さまに落ちていった。袴田さんがすぐに動き、仲間と一緒に凧糸を引いて走ると、再び空を昇った。ひと息ついて、青空に映える緑の凧を見上げ、「ありがとう」と声を掛けて回った。「仲間たちのおかげで揚げられた」。もう「貸せ」なんて、言わせない。

(鈴木凜平)

 

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