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NIE最前線 教育に新聞を

多様な表現力アップ 新聞への投稿

新聞に掲載された投稿が並ぶ掲示板前には生徒たちの歓声が響く=浜松市中区の北部中で

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 「目的や意図に応じ、日常生活にかかわることなどについて、構成を工夫して分かりやすく書く能力を身に付けさせる」。文部科学省の中学校学習指導要領解説・国語編は、中学一年の「書くこと」の目標をこう掲げる。県内の中学校では、身近な新聞への投稿を通して生徒の作文能力を養い、思考力や表現力の向上につなげている教師も多い。 

 「“作文用紙先生”は、ゆっくりと私にたくさんのことを教えてくれた。最も大きいのは自分に素直になる大切さである」。十年前の三月二十一日付の中日新聞発言欄に掲載された女子中学生の投稿の文面だ。

 作文用紙先生とは現在、浜松市北部中学校に勤める原田功教頭(54)のこと。毎週末に宿題として、生徒に原稿用紙を配る。ある時はテーマを与え、ある時は自由な題で。これまで在任した四校で、新聞の投稿欄を活用したNIEに取り組んできた。

 原田教頭の作文指導は、入学間もない一年生の四月から始まる。女子中学生の投稿はこうもつづっている。

 「最初、この作文用紙は私の敵であった。悩んで書いていると、私の日曜はすぐパーだ。作文用紙は難題を出す先生のような、会いたくない友達のようなものだった」

 過去に掲載された投稿記事を切り抜いた何冊ものスクラップブック。ページを繰りながら原田教頭は「中学生になったら作文を書くものだ、という習慣づけが大事なんですよ」と苦笑いして続けた。

 「『作文が苦手』と答える新入生は毎年五割以上で、多いときは八割を超える。最初は“毎週作文”に抵抗があるようですが、一度新聞に載ると、少しでも工夫して書こうと意欲が出る。実際、文が上手になるんです」

 原田教頭が強調するもう一つのメリット。それは「自尊感情の高まり」だ。「時代の反映でしょうか、最近は『どうせ私なんか』と夢を語らない、自分の未来に希望が持てないという生徒が増えている。『新聞に載ってたね』と周りから声を掛けられる。それが、認められる喜びを知るきっかけになる」

 ここ数年、取り組む学校が増えているという新聞への投稿。浜松市天竜区の佐久間中学校で作文指導を担当する住友理香教諭(28)も「毎週書き続けることで多様な表現力が身につき、時々のニュースなど自分の興味や関心以外のことにも対応できるようになる」と利点を挙げる。

 北部中では、新学期早々、二人の二年生の投稿が中日新聞に載った。

 「投稿が新聞に載ったよ−って、父がすぐおじいちゃんに電話していた」と家族との結びつきを話すのは、京都や奈良の寺社建築の素晴らしさを書いた大谷彩乃さん。新校舎の木のぬくもりをつづった嶌由里菜さんも「自分の考えを新聞を通して、みんなに知ってもらえたのがうれしい」と笑顔を見せた。

 記事が張り出される掲示板の前はいつも、にぎやかな歓声と笑顔が絶えない。

(編集委員・八木義弘)

 

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