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NIE最前線 教育に新聞を

言いたいことを表現 浜松市曳馬小

クラスメートの作文を読んで、内容に合った見出しを考える児童たち=浜松市中区の曳馬小で

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 四年一組のその日の授業は、黒板に張り出されたクラスメートの作文をもとに始まった。浜松市中区の曳馬小学校。作文は「楽しい宿題」と題し、新学期を迎え、自主的な学習態度が求められる四年生としての抱負をつづっていた。

 「文をよく読んで、もっと言いたいことが分かる題にしてみよう」。山崎章成教諭(54)が呼び掛ける。が、三十一人の児童から、すぐには反応がない。少しおいて、恐る恐る手が挙がった。

 「四年生の宿題」と直した高橋大河君。中村千穂さんは「自分の宿題」にした。安藤優希さんの案は「いろいろある宿題」。どれも元の題と似通っているが、より具体的になった。大胆に「四年生は楽しいぞ」としたのは小林愛実さん。題から「宿題」の二文字が消えた。

 新学習指導要領の三年、四年の国語は「書くこと・言語活動例」として学級新聞などを挙げる。「複数の種類の文章を集めて編集し、見出しを付けたり記事を書いたり、割り付けをしたりする」と例示もしている。

 「5W1Hって知ってますか?」。児童たちの発言が一巡した後、再び山崎教諭が問いかけた。

 いつ、だれが、どこで、何を、なぜ、どのように−。文を読んだり、見出しを付けたりする上で、内容の理解に欠かせない六つの要素だ。「もう一度読み返して、書いた人は5W1Hの中でこれが一番言いたいんだと思う言葉を探してみましょう」。初めて耳にする用語に、児童たちは再度、作文を入念に読み始めた。

 日本新聞協会のNIEアドバイザーを務める山崎教諭が、近ごろ目に留まった新聞の見出しのいくつかを例に説明してくれた。

 「普段、学校で学ぶことの答えは一つですが、子供たちが実際に生きている社会は違う。多様な切り口、答えがあっていいし、それが個性的な題や見出しになるんだと気付かせる。『先生、これでいいの?』と受け身で聞くだけでなく、自分で考え、言いたいことを表現できる力が必要なんです」

 四十五分の授業はあっという間だ。吉田萌香さんは最後に「自分で自由に? びっくりした宿題」と伸び伸びした題を付けた。

 授業を終え、「一番伝えたいことを書けばいいんだと分かった」と感想を書いた松野美優さん。高井捺希さんは「いつもは新聞を見ていないけど、こんなに面白いんだったら今度見てみようと思いました」とつづった。

 「子どもにとっては本来、家庭も学校と同じように学びの場なんです。親は、つい宿題しなさいとか、先生の言うことを聞きなさいとか、学校だけを学びの場と考えがちです」と山崎教諭は話す。「親子で新聞を読むことによって、例えば野球やサッカーなど共通の話題があふれているし、会話のきっかけになる。学校と家庭を結ぶ懸け橋にもなるんじゃないかと思うんです」。新聞の果たす役割に、大きな期待をかける。

(編集委員・八木義弘)

 

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