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NIE最前線 教育に新聞を

「世界の今」を知る 浜松学芸中・記事で地図

 NIE全国大会の実践発表校の一つ、私立浜松学芸中学校(浜松市中区)は、日々の新聞紙面から国名が載った記事を切り抜き、国ごとに集めて世界地図を作る体験を通して、地理学習の新たな可能性を広げている。

 新学習指導要領で「日本や世界の地理的事象に対する関心を高める」ことを目標に置く地理。「新聞記事の地図」作りは二〇一二年度、一年生全員が学習の総仕上げとして三学期最後の三週間をかけて取り組んだ。

 三週間分の朝夕刊に一面からラジオ・テレビ欄までくまなく目を通し、国名が登場する記事をすべて切り抜き、国別に分類。トップ記事から特集、短信まで大小さまざまな切り抜きを模造紙に貼り、体育館の床に並べた。

 統計情報を視覚化する「カルトグラム(変形地図)」と呼ぶ手法。どの国がどれくらいの頻度で新聞に登場しているか、それが日本との結びつきの強さを示す尺度と考えた。

 中国、韓国、北朝鮮…。領土問題などで東アジアに緊張が高まっていた時期。切り抜きが集まる国ほど面積がどんどん広がっていく。一方で“国土”がほとんど増えない、まったくないという国も。並べ終えると、生徒たちがふだん見慣れた形とは異なる世界地図が広がった。

 例えば、生徒たちがよく知る南米のサッカー強豪国や、旅行先として人気のヨーロッパの国々が意外に小さく、逆に大国の地位を占めたのは中東など西アジアの国で、全紙面で頻繁に登場していることが分かった。「西アジアは石油などの資源が豊富で、経済的なつながりが深いのでは」「国同士や地域間の紛争が絶えないせいでは」。生徒からは自身のイメージとのギャップに驚きと気付きの声が上がった。

 「体育館の二階から世界地図の全体像を俯瞰(ふかん)してみる。次に、床に広がる国々を間近に見ながら歩いてみる。そうすることで、生徒たちは自分の目で“世界の今”を知ることができる」と内藤純一副校長(51)。「必要なのは、手作りとか自分自身の五感をフル動員したアナログでリアルな体験。それには新聞が格好の教材なんです」と力説する。

 提案した地理担当の大木島詳弘教諭(38)は三年前まで東京の大手教材出版社に勤務。「教科書をつくる側にいて、現場の反応がずっと気になっていた」と転身した。十年前に内藤副校長が手探りで始めたNIE活動をともに担い、本年度は地理学習をさらに発展させ、生徒一人一人の新聞作りを計画している。

 「世界の国々へのイメージや、日本との関わりについての認識は年々希薄になっている」と心配する内藤副校長。「歴史や公民を含め、社会科の目的は生徒たちの『社会化』。社会の担い手としての自覚と、正しい判断や行動ができる資質を養うことが活動の主眼です」と話す。

(編集委員・八木義弘)

 

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