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静岡経済 特集

熱島を駆ける ヤマハ発inフィリピン(上) 「ヤマハ駅」で二輪浸透

 東南アジアの島国フィリピンで二輪車市場が今、熱い。高水準で続く経済成長とともに、国民の「若さ」が追い風となっている。シェア拡大を狙うヤマハ発動機の戦略と今後の課題に迫る。

ヤマハ発動機が命名権を取得した「ヤマハ・モニュメント駅」のホーム。若者に人気の俳優を起用したスクーターの広告が掲げられている=フィリピン・マニラ近郊で

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 スクーターにまたがりポーズを決める人気スター。「UNSTOPPABLE(止められない)」のキャッチフレーズを添えた広告看板が乗降客を出迎える。

 首都マニラ近郊を走る軽便鉄道(LRT)の「ヤマハ・モニュメント駅」。ヤマハ発動機が六千万円を投じて命名権を取得し、看板から壁、改札機に至るまで「YAMAHA」のロゴマークで埋め尽くした。

 一日の利用者は十三万人。日本でいえば東京メトロの六本木駅に匹敵する。周辺を行き交うのは大半が若い男女。ヤマハ発が売り込むスクーターの主要ターゲットだ。

 鉄道利用者を狙ったPR戦略には、深刻な交通事情が絡む。乗り合いバスやタクシーのほか、近年はマイカーが増えて市街地の道路は飽和状態。一時間で数百メートルしか進まない時もある。何とか駅にたどり着いても、ホームの混雑に耐える時間が待っている。

 二輪車なら「渋滞の間を楽々と通り抜けられる」。ヤマハ発の子会社ヤマハ・モーター・フィリピン(YMPH)で営業を統括する丸尾明公(あきひろ)さん(56)は、利便性を強調する。

 フィリピンでは経済成長に伴い四輪車の浸透が先行したこともあり、二輪車の普及率は東南アジア諸国連合(ASEAN)の主要国の中では低かった。

 便利さが注目されると、「簡単に取得できて、全ての排気量の二輪車に乗れる」(丸尾さん)という運転免許の手軽さもあり、二〇一八年の二輪車販売台数は二百二十六万台と、この十年で三倍に増えた。

朝のラッシュ時に混雑する道路。信号待ちの先頭には二輪車の姿が目立つ=フィリピン・マニラ近郊で

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 中でも急増したのが、初心者でも運転が簡単で、街乗りに適した自動変速(AT)のスクーター。ヤマハ発が力を注ぐ分野で、同社の販売台数を十年前の八倍近い五十三万九千台へ押し上げる原動力にもなった。

 学用品を販売するジョン・ポール・コンスタンティーノさん(34)は、三年ほど前から排気量一五五ccのモデルを愛用。「トラックから乗り換えたら、届け先に遅れずに着けるようになった。頑丈で信頼性もある」と実感する。

 YMPHの調査では、一八年に二輪車を購入した人のうち初心者の割合は七割近くに上り、三年前より一割増えた。「新しいものを求める若い世代のハートをつかめている」。丸尾さんは手応えに自信を見せる。

(久下悠一郎、写真も)

 <フィリピン共和国> 16世紀から続いたスペインや米国の統治、太平洋戦争中の日本による占領を経て1946年に独立した。独裁や政情不安で経済は長く低迷したが、農業や部品加工のほか、近年はコールセンター業などのサービス分野が発展。2012年以降は毎年6%以上の経済成長を続ける。日本貿易振興機構によると、15年に人口が1億人を突破。平均年齢は23歳で30歳未満が約6割を占める。

 

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