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静岡経済 特集

接客の力(下) 静岡伊勢丹 鈴木由美さん

◆思い出の輝き 継承誓う

三越伊勢丹の優秀販売員「エバーグリーン」に認定されている鈴木由美さん=静岡市葵区で

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 背筋をぴんと伸ばし、両手を体の前にそろえておじぎする。「ありがとうございました」。後ろ姿が見えなくなるまで、真心のこもった視線を送り続ける。

 リビング・食器売り場を担当。数百円の手拭いでも、数十万円の食器でも、説明にかける時間を変えないことがモットー。物腰柔らかな応対に定評があり、三越伊勢丹の優秀な販売員「エバーグリーン」にも認定されている。

 「値段は関係ない。目の前のお客さまに集中し、喜んでもらいたい」

 幼い頃に抱いた伊勢丹への憧れが、販売員としての原動力だ。家族で足しげく通った伊勢丹の本丸・新宿店。母親の洋服を見て回った後、おもちゃ売り場、食堂へと回るコースが定番だった。丁寧な接客をする店員が多く、「これが一流のお店か」と胸が高鳴った。

 一九八六年に入社。当時は週二日ある休みも「一日は休養、一日は教養」の号令の下、手話の習得やペン習字に励んだ。新宿店のゴルフウエア売り場などで六年間務めた後、結婚を機にいったん退職。夫の転勤で静岡に来た二〇一三年から、再び伊勢丹に籍を置く。

 接客では、商品の作り手の思いを的確に伝えることを心掛ける。自分で商品を使い、特長をチェック。製造現場に足を運び、職人から直接説明を受けることもある。

 「そうしているうちに、商品を好きになる。好きになると、お客さまにもっと伝えたい、という思いが湧いてくる」

 一方で、押しつけにならないように、一定の距離感を保つこともわきまえる。「お客さまに積極的に声をかけ、真剣に話を聞く。販売員にとって言葉のやりとりは本当に大切」と語る。手話を必要とする固定客を持つほか、伝票の字を「きれいですね」とほめられることもあり、「入社当時の学びが役に立っている」と感謝する。

 華やかな世界に胸躍らせた少女時代の思い出を、今も忘れない。だから「百貨店は、キラキラとした、夢のある場所であり続けてほしい」と願う。自身も、復職して「自分が一番輝ける場所だと実感した」。輝きを共有してもらうために、「お客さまに寄り添い続けたい」と誓う。

◆わが店の販売員育成策 コンテストで磨き合う

 「エバーグリーン」の認定基準は、豊富な商品知識や高い販売技術を持ち、顧客との強い信頼関係がある▽レベルアップに努め、周囲の仲間にも良い影響を与えている▽実績(顧客人数など)の背景に、周囲に広げるべき質の高い工夫がある−の3点。2011年度に首都圏9店舗で始め、12年度から三越伊勢丹グループ全体に拡大した。

 このほか、店ごとにロールプレーイングコンテストやラッピング技術テスト、店長との個別面談などを実施。社内で培ってきた接客技術を、さまざまな方法で継承している。

(鈴木啓紀が担当しました)

 

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