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静岡経済 特集

接客の力(上) 遠鉄百貨店 上野あいさん

◆絶えず笑顔 楽しさ伝染

遠鉄百貨店の接客コンテストで優勝した「ゾフプラス」販売員の上野あいさん=浜松市中区で

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 手軽さと安さを売りにするインターネット通販が存在感を高める小売業界。県内の三百貨店は、おもてなしと豊富な商品知識で顧客に最上の一品を提案する販売員が売り上げを支える。「この人から買いたい」と思わせる魅力の源は何か。接客に定評のある各店の販売員を訪ねて探った。

 丸い眼鏡と弾ける笑顔がトレードマークだ。本館六階に入るテナントの眼鏡店「ゾフプラス」の社員。入社二年目ながら、遠鉄百貨店が今年初めて開いた接客コンテスト「e−1グランプリ」で、出場者二百一人の頂点に輝いた。

 「楽しさは伝染する」。そう信じているから、笑みを絶やさない。原点は学生時代の居酒屋でのアルバイト。人と接する楽しさを感じ、四年間続けた。学んだのは「お客さまと同じ目線で話すこと」。お酒で気分が盛り上がり、冗舌な人には同じようにマシンガントークを。逆に、しっぽりと飲みたい人には、必要最低限の声掛けにとどめた。

 今も実践しているが、コンテストの前までは、自分の接客に自信を持てなかった。「もっとうまくなりたいし、うまくなれる」。今の力が百貨店内でどれくらいなのか。二百人の定員は埋まった後だったが、志願して追加エントリーした。

 一次、二次予選を経て十一人に絞られた決勝は、客への対応力や提案力が試される「ロールプレーイング方式」で争った。客の要望は「普段は四角いフレームできりっと見せているが、優しい印象を持たせる別のものを探している」。会話の端々から客の希望や好みをつかみ、べっ甲色でふちが丸い眼鏡を差し出した。審査員から「お客さまをよく観察している」「豊富な知識を生かして商品の魅力を伝えている」と高い評価を受けた。

 コンテストは、普段は目にすることが少ない、他店の販売員の接客を学ぶ機会にもなった。一次予選で同じ班になった高級ブランド店の販売員は、言葉遣いの丁寧さや物腰の柔らかさが突出していた。「ブランド力は物だけじゃなく、販売員によってもつくられることを実感した」

 以前いたショッピングモール内の店は客層が若く、「ほっておいて」と接客を嫌う人も多かった。百貨店では、相談しながら商品を決める過程を楽しむ客が多く、やりがいを感じる。「上野さん、来たよ」と名前を呼んでくれる固定客もできた。

 「この人と話したい、この人に接客してもらいたい、と思われるような販売員になりたい」と向上心を忘れない。「天職ですから。たとえ購入されなくても、お客さまに笑顔で帰ってもらえればいい」。充実感あふれる表情で、きょうも絶えず笑顔を振りまく。

◆わが店の販売員育成策 コンテストで「筋トレ」

 ショッピングモールやネット通販との競争が激化する中、遠鉄百貨店は実店舗の最大の強みである「人」による販売力強化という基本に立ち返っている。

 販売員は約2500人おり、接客コンテスト「e−1グランプリ」は今後も参加者を代えながら実施する方針だ。担当した人材開発課の村松拓さんは「ロールプレーイングは販売における筋トレのようなもの。怠けると身に付かず、頻度と回数が大切だ」と継続の必要性を強調する。コンテストを通じて販売員の育成を進め、売り上げを伸ばしたい考えだ。

(鈴木啓紀)

 

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