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静岡経済 特集

道を拓く スズキ インド進出の軌跡(番外編) 鈴木修会長に聞く(下)

◆苦労忘れず前へ

インド市場の今後を見据え、販売網と協業の大切さを説く鈴木修会長=浜松市南区のスズキ本社で

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 −インド国営のマルチ・ウドヨグ(現マルチ・スズキ)に出資し、自動車生産に乗り出した。

 「ニューデリー郊外にあった工場は基礎コンクリートを打っていたが、五センチくらいしか厚みがなかった。少なくとも十五センチにしなければならない、と現場監督になって助言した。建物のレイアウトに合わせ、日本式の流れ作業のラインを導入した」

 −マルチ幹部のラビンドラ・チャンドラ・バルガバ氏(84)=現マルチ・スズキ会長=との思い出は。

 「合弁契約前、インドは英国の植民地だったから欧米の経営を理解していると思うが、私は知らないから日本式でやると言ったら、『とにかく良い車を安く造ってもらえるなら全部任せる』と信頼してくれた」

 −取り組みの中で良かったと思うことは。

 「日本から下請けの部品メーカーを連れて行かなかった。資本力がなかったからだが、逆に幸いした。マルチが現地の資本家を集めて技術を教え、そのおかげで(車造りが)インドに根付いた。部品の取引先が販売店もやってくれるようになり、一致団結できた」

 −二〇三〇年にインドの乗用車市場は年間一千万台になるとも。50%のシェアを保つために必要なのは。

 「一に販売網。二にも三にも販売網だ」

 −今は小型車中心だが、所得水準が上がるにつれて中・大型車の需要が増えるのでは。

 「それは人間の欲望として当然だと思う。中国もアメリカも、道路網が良くなれば大型車中心。インドも日本の九倍の国土がある。問題は時代がどう変化するか。電動化の方向は間違いないが、電気自動車(EV)になるか、ハイブリッド車(HV)になるか。停電が多いので、EVは電力インフラをどうするかという問題もある」

 −トヨタ自動車との協業が鍵となるか。

 「対応するには一社ではできない。おのずと答えは出てくる」

 −進出から三十五年を振り返ると。

 「達成感や幸福感を味わうのもつかの間。危機が訪れようとしている」

 「インド政府と合弁契約を結んだのが三十六年前。当時の苦労を知る社員のほとんどが定年を迎えて辞めている。先輩が苦労してシェア50%になったが、今いる人たちは自分たちでやったと錯覚している。このまま仕事を続ければ将来も開花すると考えがちだが、それでは心配。だから私は八十八歳になっても代表権を譲らない」

 

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