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AIする未来 〜人工知能がつくる新聞〜

「AI対整理記者見出し100本対決」全問と結果 読み物

(1) そのビールをグラスに注ぐと、爽やかなミカンの香りが広がった。地ビールメーカー、宇佐美麦酒製造(伊東市宇佐美)と「東京大みかん愛好会」が開発した「みかんdeエール」。地ビールがいまほど流行していなかった二十年前、宇佐美のミカン農園内に醸造所は造られた。ハンガリーのビール職人直伝の製法で、フルーティーもあれば苦みの強いものも。深い味わいのビールを生み出す。

 隣接する農園で収穫されたミカンを切って冷凍し、粉砕して醸造の途中に加えている。社長の加藤泰克さんは「凍結で細胞壁が壊れて、ミカンの香りがさらに引き出されました」と話す。

新AI<2>ミカンのビール

記 者<1>ミカンビール シュワッと変身

旧AI<3>香り伊東大製法が開発

(2) 西伊豆町宇久須はガラスの原料となる珪石(けいせき)の産地。多くの板ガラスが作られてきた。採掘の幕は閉じたが、ガラス文化の発信地を残そうと旧賀茂村が作家の定住支援を始め、何人ものガラス作家がいまも町に暮らす。

 吹き竿(ざお)の先端に溶けたガラスを付けて息を吹き込むと、風船のように膨らんだ。生島賢さんのガラス工房「ゴリラ・グラス・ガラージ」。ガラスを溶かす溶解炉と、ガラスを成形する再加熱炉のグローリーホールは一二〇〇度の高温。

 専用の器具で形を整えた生島さんは「木のパドルや紙リン、蜜ろうが焦げるにおいもするよ」。やがて魔法の手にかかったように溶けたガラスは一つの作品になった。

新AI<2>ガラスの作家に

記 者<1>ガラスとまち 溶け合う

旧AI<3>賀茂文化発信に多く

(3) 温泉が点在する伊豆半島で、いとう漁協が運営する富戸(ふと)ダイビングサービス(伊東市富戸)に変わった露天風呂がある。

 伊豆の美しい海中景観に魅了されたダイバーたち専用の露天風呂「温泉丸」。ウエットスーツのまま入ることができる。ボラ漁の廃船を利用した源泉掛け流しの湯を、潮の香りが包む。

 裏山の対馬(たじま)温泉から湧き出る低張性・アルカリ性の湯は七〇度。いくらウエットスーツのままでも熱すぎる。試行錯誤の末、定置網漁師が作った魚の網に、源泉を霧状に当てて温度を下げる方法に落ち着いた。

 同サービスの猪狩克裕さん(45)は「海面の輝きや魚が跳ねるのを見ながら、ゆっくり冷えた体を温めてほしい」と話す。

新AI<2>温泉 漁協でサービス

記 者<1>ダイバーに船上風呂

旧AI<3>富戸あるいとうづくり

(4) 天日干ししたかつお節を裏返す作業が始まった。西伊豆町田子で本枯れ節をつくるカネサ鰹(かつお)節商店の中庭は辺り一面、香ばしい。

 伊豆田子節と呼ばれるかつお節は、切って煮込んだカツオを「手火山(てびやま)式焙乾(ばいかん)法」という独特ないぶしと乾燥をさせ荒節をつくる。カビ付けと天日干しを半年かけて六〜八回繰り返す。

 江戸の人々をうならせてきた伝統の製法が今も息づく。手間と時間をかけることで水分は飛び、生臭さは消え、うま味と香りが凝縮される。

 五代目の芹沢安久さん(50)は「パックのかつお節の多くは荒節を削ったもの。カビが付いたかつお節は発酵食品。本枯れのおいしさを味わってほしい」と話す。

新AI<2>西伊豆でかつお節作業始まる

記 者<1>かつお節 本枯れの深み

旧AI<3>西伊豆日干し作業中庭

(5) 秋の夕日が傾き、暗くなり始めた本堂前。大きな香炉にたかれた線香が赤々とともり、煙が参拝者を包み込む。両手を合わせ一心に願いを伝える参拝者。「線香の香りは、懐かしくやさしい。心がいやされる」と女性がささやいた。

 春と秋の彼岸に「お鴨江まいり」の名で親しまれる浜松市中区鴨江の鴨江寺。秋の彼岸を終えた平日の境内は参拝者もまばらで、時間がゆっくり流れていく。

 雨の日も風の日も三百六十五日、欠かさずに祈願に訪れるという人に出会った。「くじけそうな時期があった。ここにきて祈り続けると不思議と希望がわいて、明るい気持ちになる」。浜松市中区の自営業小沢誕孝(のぶたか)さんは、ほほ笑む。

 澄み渡る空が広がる秋の一日。香炉からは思い思いの願いが、線香の煙と、さわやかな香りに包まれて、今日も天空に上がっていく。

新AI<2>線香の香り

記 者<1>祈る心 空高く

旧AI<3>香り心 女性伝える

(6) 十月初旬、磐田市豊浜中野の中野白山神社で、どぶろくを神前に供える秋の例祭「どぶろく祭り」が営まれた。濃厚なチーズを思わせる香り豊かなどぶろくが今年も献上された。

 地域の氏子を代表する三人が杜氏(とうじ)を担当し、酒造りを代々、継承している。九月から準備を始め、地元で収穫された米、こうじ、水で酒母を造り、三週間ほどで完成させる。

 直径、深さ約一メートルの木樽(たる)で造られるどぶろくは、約二百リットル。アルコール度数は一六〜一七度。温度管理が大事で、朝と晩に交代で番をする。約一メートルの木のかいで、丁寧にかきまぜて仕上げた。

 「手間はかかるが、先人からの伝統と技を長く守りたい。香り高くおいしい酒ができて、今年もほっとした」と、最年長の加藤順三さん。氏子たちとどぶろくを酌み交わした。

新AI<1>どぶろくの香り 例祭に舞う

記 者<2>どぶろく 伝統の香り

旧AI<3>祭りの香り 磐田献上へ

(7)浜松市中区八幡町の浜松八幡宮・社殿前には、樹齢千年を超える御神木のクスノキ「雲立楠(くもたちのくす)」が根付く。根回り約十五メートル。枝張り四方約二十五メートル、樹高約十五メートル。

 木には直径五ミリほどの実が付き地面にこぼれ落ちる。実や葉をこすれば、清涼感を持った香りが広がる。クスノキは防虫・防腐剤にもなる樟脳(しょうのう)の素(もと)ともなる。境内は一年を通して、御神木の持つ神聖な香りで包まれる。

 千年余の歴史を見つめてきた雲立楠は近年、幹や枝の衰えが目立ってきた。木の生命力を弱める添え木はせずに、三方向に伸びる太い三本の枝をゆわえて自立させている。維持と管理を指導する、はままつフラワーパーク理事長で樹木医の塚本こなみさんは「木が持つ生命力は素晴らしいものです」と目を細めた。

新AI<2>くも 四方にクスノキ

記 者<1>樹齢1000年 神秘の生命力

旧AI<3>立超える樹高

(8) 浜松市北区引佐町奥山の方広寺。ここでは、参拝者に提供する精進料理が、ひそかな人気だ。中でも好評なのが「精進うなぎ」。ウナギのかば焼き風で、地元、遠方からの参拝者も、甘辛い香りに引きつけられる。

 もちろん、本物のウナギではない。豆腐に山芋、レンコンと、多様な具材を使って、ウナギの代役となる身を作る。その練り方はふんわりこまやかに。皮は板のりでしっかりと再現。丁寧に白焼(しらや)きしてから、二回、三回と秘伝のタレで焼き上げる。

 料理長の松井俊郎さんは、「食感と香ばしさを出すには焼き加減が一番の秘訣(ひけつ)。毎回、神経を使います」。寺の精進料理は地元食材を使い、風味とともに、しっかりと味付けをするのが特徴。野菜の煮びたし、あえ物、天ぷら、ごま豆腐にかば焼き。食膳からしょうゆの風味とうなぎの香りが、ふんわりと豊かに漂った。

新AI<2>ウナギのかば焼きで参拝者

記 者<1>ウナギみたい こだわり一さじ

旧AI<3>方広 香り引佐が提供

(9) 燃え盛る護摩木の音と、炎の熱風が伝わる。木が燃える煙の香りが相まって、本堂で願いを記した護摩木が赤々と燃え、舞い上がる。三メートルに届かんとする激しい炎は、次々と投げ入れられる護摩木によって、さらに勢いを増した。

 浜松市中区中沢町にある遠州信貴山(しぎさん)。総本山の奈良県信貴山は聖徳太子の開基による日本最古の毘沙門天(びしゃもんてん)の霊刹(れいさつ)として知られる。七福神の毘沙門天は家内安全、商売繁盛、福徳開運の霊験あらたかな福の神。

 毘沙門天の真言が唱えられる中、祈とうは続く。建部龍心(りゅうしん)主管は「近年は悩み多き時代。心配事も多岐にわたる。祈とうのたびに、新たな一歩を踏み出して、皆が笑顔になるように祈っている」と話した。

 祈とうを終えた九十歳代の女性参拝者が教えてくれた。「ここに来ると、すっと、心が軽くなりますよ」。少し上気した顔で、ほほ笑みながら。

新AI<1>炎の音 勢い

記 者<2>燃える煙 心も軽く

旧AI<3>香りの木 燃える

(10) 焙煎(ばいせん)機から大量の豆が放出され、建屋内に香ばしい香りが立ちこめた。「やっていることはカフェや喫茶店と、そんなに変わらない。量はケタ違いだけど」と高砂珈琲(コーヒー)磐田工場(磐田市下万能)の丸山尚男工場長は話す。

 高砂珈琲は一九四六年創業の鈴木コーヒー店(東京)を前身とし、八七年に高砂香料工業の関連企業として社名を変更して、磐田市に工場を建設した。ブラジルなど十数カ国から生豆を仕入れ、高砂香料工業研究開発本部のレシピに沿って、主に高濃度のコーヒーエキスを抽出し、飲料メーカーなどに出荷している。

 生豆そのものに香りはほとんどないが、焙煎で苦味や香りが生じる。焙煎の時間や温度などが違う生豆の組み合わせ方によって、風味は大きく変わる。丸山工場長は「エキスの種類は何百とある」と話す。

 エキスの香りは、ドリップした時のようなフワッと広がるものと違い、濃縮された香りがほのかに漂う感じ。「コーヒー工場と聞いて想像する香りと、イメージが違うでしょう」。いたずらっぽく笑った。

新AI<2>建屋にカフェの香り

記 者<1>焙煎 香りと風味百変化

旧AI<3>香り 喫茶変わらない

(11) 漂う香りを集める「香気捕集」も、香料メーカーの研究員の仕事の一つ。特殊なビニールで植物を覆い、吸着剤を入れたガラス管をポンプにつなぎ、吸い続ける。小さな吸着剤を草花に直接付ける方法もある。

 「香りの強弱などで使い分ける」と、高砂香料工業研究開発本部(神奈川県平塚市)の菅原俊二研究主任は話す。

 香りを集めるため、北海道や小笠原諸島に出向くことも。植物を傷つけないことを第一とし、場合によって捕集は諦める。国立公園や自然公園では器具を置くことすら規制されることがあり、管理者との交渉が最大の難関となる。

 捕集した香りは、分析してデータとして蓄積し、商品開発に応用される。しかし、菅原研究主任は「それだけが目的ではない」と話す。こうしたデータがあれば、植物が絶滅しても香りを再現できる可能性があるからだ。

 貴重な植物の情報を、どれだけ後世に残せるか。環境への配慮を忘れない研究員の使命感があってこそ、「香りの財産」は未来に伝えられる。

新AI<3>研究員のガラス方法

記 者<1>植物を生かす 香りの方舟

旧AI<2>香りで研究員ら

(12) 二十畳ほどの部屋。食品香料の専門家、フレーバリスト三人の前に、それぞれ果汁成分の濃度が違う飲料水が入ったカップが置かれた。まず注がれた状態の香りを、それから口に含んだ時の香りを確かめた。

 風味は依頼された通りか、香料が狙い通りに働いているかなどを人の五感を使って検証する「官能評価」の場面だ。「いかに先入観をなくすことができるか。それが難しい」と高砂香料工業研究開発本部(神奈川県平塚市)の後藤幸生専任研究員は話す。

 コーヒーやお茶などは色が濃いほど香りも強い傾向にあり、先入観を持たないようにライトで色を変えることも。チームで評価する時は、「チョコレートの香り」「バニラの香り」など共通の表現を使ってイメージを一致させる。

 後藤研究員は「消費者の声を聞く機会が少なく、求められる香りが実感しづらい」と、消費者が手にする商品を手掛けていない香料メーカーの苦労を明かす。

 香りは、味や食感などとともにおいしさを感じる大切な要素。フレーバリストは人々の「食べる楽しみ」を支えている。

新AI<2>食品の果汁 香り

記 者<1>先入観持たず 五感で評価

旧AI<3>香り口成分入る

(13) 窓もなく分厚いドアに閉ざされ、外部の影響を排した「電気シールドルーム」。ここで、香りが人体にどんな効果をもたらすのか、脳波を使った解析が進められている。

 被験者の頭などに付けられた電極から、何本ものコードが延びている。高砂香料工業研究開発本部(神奈川県平塚市)の高柳深雪研究主任は「調べるデータの種類によって、電極を付ける場所も変わる」と話す。

 香りの情報は、特に記憶や本能的な感情と関わりが深いとされる。とはいえ、計測できる脳波はわずか。まばたきや筋肉の動き、鼓動すらノイズとなる。頭部以外に付けられた電極は、ノイズを除去する役割を果たしている。

 皮脂をきれいに拭き取り、汗が出にくい環境を保つ。高柳主任は「小さな反応だけに、いかにノイズの少ないデータを取れるか、に尽きる」と話す。

 世の中にあふれ、目に見えない香り。そして、今でも未知の領域が多い脳。カラフルなコードは、それらをつなぐ虹色の架け橋のようだ。

新AI<3>香りの効果

記 者<2>わずかなデータ 謎への架け橋

旧AI<1>香り脳波影響

(14) 磐田市西部に二本の蒸留塔がそびえる。何本もの配管やタンクが、常夜灯に浮かび上がった。

 今年創設五十周年を迎えた、高砂香料工業磐田工場。同社の主力製品「l(エル)−メントール」の製造を一手に担う。

作られているのは、ハッカやペパーミントに多く含まれる香り成分。チューインガムや歯磨き粉、シャンプーや湿布など幅広く利用され、口に含んだり、肌に触れたりすると、スッとした爽快感を感じさせる。

 製造過程で使う触媒は、二〇〇一年にノーベル化学賞を受賞した野依良治名古屋大学特別教授=同社社外取締役=らが開発した。同社は三十五年前、この触媒を使ったl−メントール製造の工業化に世界で初めて成功した。

 原料が工場のパイプを通り、タンクにためられ、化学反応によって製品になるまで四十三日。工場は二十四時間休むことなく、製品を生み出し続ける。

 磐田から世界中に届けられる香り。夕焼け空に映える塔は、その象徴でもある。

新AI<2>西部の常夜灯に蒸留塔

記 者<1>爽快感 支える蒸留塔

旧AI<3>タンクに常夜灯浮かぶ

(15) 日が暮れると、山小屋の光が点々と輝きを増していった。その間を登山者のヘッドランプがゆらめいている。目を凝らすと、くっきりと富士山の形が夜空に浮かび上がった。

 山小屋は発電機で電気を起こしている。燃料は軽油。山小屋の横で感じる油のにおいはこれだった。照明や冷蔵庫など小屋の中も電化製品があふれている。電気は欠かすことができない。

 富士宮口登山道九合目の万年雪山荘(標高三、四六〇メートル)では、消灯後の通路の小さなライト、トイレ、小屋前の照明などがともり続け、発電機が止まることはない。経営者の渡辺和将さんは「一日に約五十リットルの燃料を使います」と話す。

 御来光を山頂で見ようと深夜に登る人にとって、小屋の光は長い道のりを教えてくれる貴重な存在。頂までどれだけ登ったかが分かる。

 十日に閉山する富士山。星の瞬きのようにともる明かりは消え、来年の開山日まで闇に包まれる。

新AI<3>登山者のヘッドランプ

記 者<1>御来光へ導く小屋の光

旧AI<2>夜空を輝きに光り増す

(16) 熟成庫に足を踏み入れた瞬間、濃厚なウイスキーと樽(たる)の香りに包まれた。経験したこともない強さ。中は十階建てビルほどの高さがあり、十八段もの樽を積み上げることができる。

 大麦麦芽が原料のモルトウイスキーと、トウモロコシが原料のグレーンウイスキー。御殿場市のキリンディスティラリー富士御殿場蒸溜(じょうりゅう)所では、仕込みからボトリングまでの全工程を行う。

 富士山の中を五十年もの歳月をかけて通る地下水を使い、原酒はオーク樽の中で何年もかけて熟成されていく。標高六二〇メートルの冷涼な地で、霧による湿度も長期熟成に適しているという。

 蒸留器から出た原酒は無色透明。何年もの眠りの中で少しずつ揮発し、一年で3%ほどが消える。おいしいウイスキーができるためのエンゼルシェア(天使の分け前)と呼ばれる。

 眠りから覚めるころ、ウイスキーは樽の命を授かって琥珀(こはく)色に輝き、独特の甘みやこくを醸し出し、華やかな香りになる。

新AI<3>ウイスキーのビル

記 者<1>天使の分け前 至高の一杯

旧AI<2>香りに樽あり

(17) 富士山は頂上へと登る面白さもあるが、天候と体力によっては苦しくつらい思い出しか残らないこともある。下山の楽なコースをたどり、自然を満喫する「頂上を目指さない」ツアーがある。

 企画しているのは静岡市葵区のそふと研究室。「頂上を目指さない富士山さんぽ」の著者で、森町在住の山歩きガイド、鈴木渉さんが植生の変化や噴火の歴史を解説しながら案内してくれる。富士宮口五合目(富士宮市)から宝永山の火口の縁を歩き、二合目の水ケ塚公園(裾野市)まで下って行く。

 江戸時代中期に富士山の宝永大噴火の影響を受けた富士山南東斜面の景色は火山荒原(こうげん)。火山灰の上をざくざくと歩くと、辺りは低い植物が点々と生えているだけ。下っていくと、富士山で特徴的な針葉樹のカラマツが低く茂り、木の枝は風下になびいていた。さらに下ると急に深い森の空気に包まれた。

 高い木が林立した落葉広葉樹の森だ。火山灰の地面は黒い土に変わっていた。参加した浜松市東区の藤野二三子(ふみこ)さんは「市街地は猛暑でも、自然のクーラーの中ですがすがしい。まるで森林浴」と話した。世界遺産のもう一つの楽しみ方だ。

新AI<2>山の頂上ツアー

記 者<1>頂上目指さず 自然満喫

旧AI<3>体力ある富士自然天候

(18) 炭の中で焼かれた金属のこてを取り出すと、小屋の主人が手慣れた動作で金剛杖(こんごうづえ)に印を押した。煙が上がり、木が焼ける匂いが小屋にあふれた。

 富士宮口登山道の六合目にある宝永山荘。五合目から登り始めて三十分ほどの近さ。炉端で焼きごてを持つのは女将(おかみ)の渡井弘子さんで、登山者が集める焼き印を押している。

 金剛杖は八角形。富士山の山頂には八つの峰があり、その数を表しているといわれる。回しながらこてを押していくと、四つの面に「表口、六合、海抜2500メートル、宝永山、表」の文字が煙とともに浮かび上がった。富士登山は二回目という東京都世田谷区の萩原義浩さんは「昨年は吉田口から、今年は富士宮口から」と話し、いっぱい押された焼き印にまた一つ思い出を刻んでいた。

 焼き印を押すとき以外は小屋は炭の焼けるいい匂いが鼻をくすぐっていた。「ナラの炭は、はぜなくていい」と、渡井さんは竹で息を吹き掛けて火をおこす。海抜ゼロメートルからの富士登山を目指す登山者の一日目の終わりにたどり着く小屋でもある。夜は海の香りも連れて来るのだろうか。

新AI<2>金属の金剛 匂い

記 者<1>焼き印に思い出刻む

旧AI<3>匂い小屋焼ける

(19) 「天空のダリア」が、夏から秋へ移りゆく富士山に彩りを添える。二合目(標高約千二百メートル)のすがすがしい空気に包まれた裾野市の遊園地「ぐりんぱ」。水上アスレチックや、子どもが楽しめる乗り物があり、家族連れでにぎわう。園内の三万株のダリアが見ごろを迎えている。

 花びらが幾重にも重なり、色鮮やかなキク科の花。品種改良で数万種もあるというが、ほとんどがあまり香りはしない。食事を邪魔しない利点があり、食卓に飾られることも多い。

 花びらに顔をいっぱいに近づけて嗅いでみると、ほのかな香りがする種類があった。花屋さんの前を通ったときに感じるわずかな香りに似ている。人にはほとんど分からなくても、昆虫には分かるようで、ハチやチョウが蜜を求めて花から花へと飛んでいた。

 開花状況を出している同園の土屋隆生さんは「早朝、草のような匂いですが、むんむんと香ります。富士山の風が吹くと消えてしまいます」と話す。

 香りは少なくても、バラエティーに富んだ大輪の花々と、日本一の霊峰との競演は見応え十分。十月まで楽しめる。

新AI<1>天空のダリアに染まる

記 者<2>天空のダリア 3万株見ごろ

旧AI<3>連れ彩り「株ある」

(20) 太陽が山間に沈み周辺が青白くなり始めた夕刻、子供たちの元気な歌声があたりに響く。浜松市北区引佐町の市かわな野外活動センター。市内外の小中学校の児童・生徒がハイキングや沢登り、炊飯活動など自然豊かな山の中で普段とは違う生活を体験する。

 この日、訪れていたのは浜松市浜北区の内野小学校五年の二百二十二人。到着後、カレーづくりや天体観測を体験。二日目の夜にキャンプファイアの時間が訪れた。センターでは職員が間伐したマツやスギなどを二年ほど乾燥させ水分が抜けた木を使うため、いぶすような激しい煙は出ない。

 輪の中心で空高く上がる炎を囲みダンスや仲間集めゲームなどのレクリエーションを楽しむ児童たち。児童が火の神にふんした渡辺晴好校長から授かった「思いやりの火」「協力の火」「努力の火」「希望の火」で点灯されたキャンプファイアは迫力満点だ。

 その火が消えないよう薪を使い分け、火を守るのは長尾博史教諭。「薪の種類によって香りが違うんです。この若干赤い木を燃やした時の香りが好きです」と、額に汗を浮かべ児童の盛り上がりに合わせ火力を調整する。子どもたちの元気な声とほのかに香る煙の香りに包まれ夜は更けていく。

新AI<2>市内外の生徒体験

記 者<1>小さく熱い願い 夜空へ

旧AI<3>引佐(生活歌声小)

※<>数字は水谷整理部長による評価順位

 

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