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AIする未来 〜人工知能がつくる新聞〜

「AI対整理記者見出し100本対決」 新型AI超進化

◆昨年に続き、静大と合同企画

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 見出し−。新聞の記事を読んでもらえるかどうかはその優劣にかかっているといっても過言ではない。文章の要点を正確につかみ、簡潔かつ、印象深く表現するという人間でも困難な見出し作成を人工知能(AI)が行えばどうなるのか。本紙と静岡大情報学部・狩野芳伸准教授の研究室が新春合同企画「AI対整理記者 見出し100本勝負」を実施した。さて、結果はいかに。

 本紙は昨年の正月にも静大と協力し、AIに見出し作成に挑戦してもらった。幾つか、光る見出しも作ったが、まだまだ人間とはレベル差が大きかった。

 今回、対決した改良型新AI「つづりん」は「昨年より格段に進歩した」(狩野准教授)という自信作。本紙からは整理経験八年の西本円記者(34)が挑戦を受けて立ち、AIの進歩を測るため、昨年の旧型も参加した。

 過去一年間に本紙が報じた政治、経済、スポーツ、社会、コラムの五分野各二十本、計百本の記事で三者が見出しを作成。制限時間は百分とした。新旧ともAIは一瞬で作り、西本記者は六十四分で終えた。三者の解答は作成者を匿名にしたうえで、水谷有・中日新聞東海本社整理部長が一〜三位を順位付けした。

 その結果、つづりんは百本中、九本で西本記者を上回り、一位評価を獲得した。西本記者の一位は九十本で、旧AIは二本(二者一位があったため合計数は百にならない)だった。

 新AIをプログラムした研究室の岩間寛悟さん(22)=大学院一年=によると、前回は本紙が提供した過去五年分の記事データを使用したが、今回は三十年分に拡充。生成手法も見直し、文中に頻出する単語だけでなく、その前後や全体の文脈も踏まえて検討することが可能となった。「(旧AIには難しかった)肩書と名前の組み合わせも高い精度で判別できる」と狩野准教授。例えば、「元横綱貴乃花親方」のように一般的ではない名前や肩書が入り交じった場合でも「貴乃花」が人名だと瞬時に判断可能だという。

 狩野准教授は「(つづりんの解答の)八割方は内容も妥当だった。今後は、より精密に文章の意味を取り込むことが課題」と手応えを感じている。

 水谷整理部長も「実用化にはまだまだだが、前回よりも明らかに見出しの精度は上がっている」と評価した。

(鎌倉優太)

◆<Q1>言葉選び判断割れる

 短い字数の中「浜松市長」と「4選」のどちらを重視するかでつづりん(新AI)と記者の判断が割れた。審判を務めた水谷有・東海本社整理部長は「4選がキーワード」と、いったんはつづりんに軍配を上げかけた。しかし「意向を固めた」という記事なのに、つづりんは「立候補」と断定している。「これは“勇み足”」と判断し、記者の勝利とした。一方で「時間が限られていることもあり、記者は『4選』という言葉を使えなかった。つづりんの実力はあなどれない」とも述べた。

◆<Q2>「ソフトB」知らず

 ソフトバンクを「ソフトB」と略した西本記者の経験に軍配が上がった。こうした略し方は短文が求められる見出し特有のもので通常の記事中は見られない。つづりんは略すことができず、字数を考慮してか、見出しにソフトバンクを入れるのを見送った。他の経済記事でも、中部電力を中電と略すことができないことがあり、つづりんの弱点があらわになった。ただ、こうした略し方を学習すれば十分に克服できる。

◆<Q3>呼び捨てのミス

 つづりんにミスが出た。新聞紙上で個人を呼び捨てにすることはないが、「トランプ」「金正恩」と、ともに人名は正確にとらえた一方で、敬称を付けなかった。字数を短くすることを優先し、記事中の敬称、特に「朝鮮労働党委員長」は使えないと判断したのかもしれない。

◆<Q4>短い記事で同点

 「期せずして一緒の見出しになったね」と水谷部長。百本勝負で唯一、つづりんと西本記者がまったく同じ見出しをつけた。短く、構成が単純な記事では人間と遜色ない、つづりんの実力をうかがわせた。

◆<Q5>恐るべし語い力

 つづりんが記事中に出てこない単語で見出しをつくるという離れわざを見せた。記事中の「“先生”への思い」という表現から「励まされ」が続くと判断したようだ。「たとえ文中に無くても、過去の記事の傾向を分析して適切な見出しをつくる」と狩野准教授。恐るべし、つづりん。

◆<Q6>完全勝利で驚き

 「これは完全にこっちがいい」。作成者を知って、水谷部長が驚いたのがこの問題。つづりんは「香り」を主語に、記事中にない「舞う」という言葉を選んでみせた。「香り」が「舞う」という表現は過去のデータベースでも多くないが、「例祭」で、火の粉や紙吹雪が「舞う」記事はよくある。

◆<Q7>痛い数字間違い

 西本記者、痛恨のミス。「百十」を「七十」と誤記した。ふだんは、記事の全文を読んでじっくり見出しをつけるが、今回は百本の記事に、百分以内で一気につけるという初めての体験。

 作業が後半になるにつれ、首や腕を回すことが増えた。「疲れ」は言い訳にせず「間違えてしまいました」と敗北を認めた。

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