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公務員に求められる倫理観 藤枝消防署イベント

◆知人の子に、こっそり搭乗券

 火災の現場にいち早く駆けつけ、ひときわ存在感を放つ「はしご車」は、子どもたちにとって憧れだ。はしご車に間近で触れ、乗ることもできるイベントが昨年十一月に藤枝消防署であった。大盛況のまま終わったはずだったが、「職員の不正を見て不快な気分になった。子どもたちがかわいそう」という電話が本紙にあった。

 イベントは消防の仕事を市民に知ってもらおうと、藤枝消防署が主催した。はしご車の体験搭乗は一番の人気企画で、希望する子どもたちを全員、乗せることは難しいため、抽選によって搭乗者を限定した。

 子供たちは当たりくじ(搭乗券)が出るまで何度も並び、長蛇の列が途切れることはなかった。十回近く並んでも搭乗券が当たらず、母親に手を引かれながら、泣きながら帰宅する子もいたという。

 電話を寄せてくれた読者は、消防署員二人が列に並んでいなかった知人らしき人物に、こっそりと搭乗券を渡す場面を目撃した。

 藤枝消防署を管轄する志太消防本部は、本紙の取材に事実関係を認めた。職員二人は「軽い気持ちでやった」と話したといい、厳重注意した。取材に答えた消防本部の大橋充総務課長は「極めて倫理観に欠ける行為。不快な気持ちになるのは当然で、おわびする。同様のことが他になかったとは言えず、今後はあらためて綱紀粛正を組織として図る」と話した。

 同席した松永浩和藤枝署長は「当初は定員六十人の予定だったが、まだ乗りたい子供もいたのでサービスで時間を延長した時に不正が起きた。今後は定員を守って実施する」と回答した。

 記者は要領を得ていないと感じ、「サービスうんぬんではなく、搭乗券を知り合いに渡す職員の風紀が問題では」とただしたが、署長は「どうでしょうか」と首をかしげるだけだった。謝罪の言葉こそあったものの、この署長には、子どもたちの思いや、電話をくれた読者のように、その純粋な思いに寄り添おうとする大人たちの真意が伝わっただろうか。

 志太消防本部では、焼津消防署の男性係長が新型コロナウイルスがまん延する中、備品のマスクを盗んでインターネットオークションに出品していたことが発覚し、懲戒免職になったばかり。公務員としての倫理観が求められていることは、言うまでもない。

(大橋貴史)

 

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