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富士市のシンボル「花時計」直った 

経年劣化ですり減り、かみ合わなくなった円盤状の歯車(上)とらせん状の歯車。同じサイズで自作し、装置に組み込んだ

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 交換する部品がなく、多額の税金をつぎ込んで丸ごと入れ替える危機にあった富士市の中央公園(同市永田町二)の花時計が、機械製造・修理会社「丸十鉄工所」(同市中之郷)の手で復活し、取り付け工事が行われた。費用は、丸ごと入れ替えた場合より大幅に安い百三十万円。地場企業が「紙のまち」で長年培った技術が、地元のシンボルを救ったかっこうだ。

 花時計は公園入り口正面にあり一九九一年に設置。直径五メートルほどの円形の花壇で、季節に合わせて年五回花を植え替え、市民の憩いの場になっている。

 市は五月十五日、市民からの連絡で時計が動かなくなったことを知った。製造元の大手時計メーカーに連絡したが部品は既になく「修理不能」との回答で、新しい時計との入れ替えを勧められた。費用は、七月の市議会での答弁によると時計本体のみで約千百万円。市は入れ替えではなく修理の可能性を探り、直せる企業を探した。

修理した機械を収納し、長針と短針を付ける作業が行われる市中央公園の花時計=富士市で

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 そんな中、中小企業支援組織の市産業支援センター(エフビズ)が丸十鉄工所を紹介した。同社は一九〇九(明治四十二)年創業で鍛冶屋からスタート。高度成長期は製紙会社の抄紙機(しょうしき)などを製造、地元の中核産業を支えてきた。八年ほど前から機械修理にも進出。説明書もない外国製の機械なども分解し、図面を引き、設計し直して修理していた。

 市は同社に作業を依頼。八月、同社の斉藤淳芳専務(45)と、柴田義之さん(47)が時計を見に訪れ、内部で「コツンコツン」と規則正しく異音が響くのを聞いた。中の歯車が故障しているのでは?と見当をつけ、会社に持ち帰り、機械が収納された金属製の箱を開くと、予想通り歯車がすり減り、うまくかみ合わない状態になっていた。

 分解し、歯車を自社で新たに製作。元あった場所に設置し復元させた。それだけでなく、機械が収納された箱に小窓をつけ、注油装置の位置を変えるなどメンテナンスしやすいよう加工した。時計の修理は初めてだったが、全体作業を監督した柴田さんは「ギアやモーターの扱いはいつもと同じ。難しくはなかった」と振り返る。

 市によると、市民からは「花時計はいつ直るのか」と問い合わせも相次いでいたという。現地に設置後、無事に針が動きほっとしたという斉藤さんは「直せてよかった。小さな工場にもこんなことができる。ものづくりの面白さを一般の方にも知ってもらえればうれしい」と笑顔を見せた。

(前田朋子)

 

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