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現代の名工 県内5人に

 優れた技能を有し、その道で第一人者とされる人を厚生労働省が表彰する「現代の名工」に八日、県内から五人が選ばれた。五人の技と歩みを紹介する。

守屋 勝博(もりや・かつひろ)さん 64歳

◆広告美術工 「きれいな文字」を追究

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 広告美術の道一本で四十六年。三十代で独立し、「サインアートモリヤ」を浜松市浜北区で営む。「とにかく文字をきれいに書こう」とひた走り、今は後進を育て業界の発展を支える。

 筆とペンキがあれば仕事ができた時代もあったが、現在はパソコンや最新機器を使う。ニーズの変化も著しいが「結局はお客さんの求めに応えること」。根本は今も昔も同じと考える。

 看板であえて傷みを表現する技術など新しい挑戦を続ける。「模索しながら、やりがいのあるものにチャレンジしていきたい」。浜松市浜北区。

(篠塚辰徳)

野ケ本 明(のがもと・あきら)さん 74歳

◆建築とび工 若い頃には県内外奔走

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 建築とび工になって五十年余り。「みんなに助けられ、育ててもらった。受賞はみんなのおかげ」と周囲に感謝する。二十、三十代のころは仕事で県内外を飛び回り、自宅に戻ってくるのは月に数日ほど。信頼を勝ち取ろうと、舞い込む仕事は全て引き受けた。

 五年ほど前に第一線を退き、後進の育成に軸足を移している。心掛けるのは、言葉での指導に頼らず、自ら動いて模範を示すこと。「やっぱり現場が好き。たまに現場に出たくてうずうずするけど、グッと我慢しています」と笑う。牧之原市女神(めかみ)。

(佐野周平)

森藤 庄司(もりとう・しょうじ)さん 76歳

◆金属研ま工 産業支える刃物の切れ

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 「物作りに何かを切る工程は欠かせない。思い通り切れる刃物の提供は産業を支えること」。さまざまな工業用刃物を狂いなく研ぐ。

 菓子の包装紙や電子部品のフィルム、食材…。どんな素材でも切り口が滑らかになるよう、試行錯誤を繰り返している。

 五十鈴(いすず)刃物工業を設立してから三十年ほど。以前は教えられたが、若手育成にも力を入れる。「取引相手や時代によって切りたい素材の硬さや形状は変わる。無我夢中でやってきた」。幅広い産業を支える自負と充実感に包まれている。静岡市葵区。

(牧野新)

佐野成三郎(さのせいざぶろう)さん 81歳

◆げた製造工 華やか駿河塗下駄演出

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 漆を塗り重ねた下駄(げた)に卵殻や金粉で絵を描く「駿河塗(するがぬり)下駄」。五十ほどの工程をへて、仕上げまで一年以上かかる作品もある。竜や鳳凰(ほうおう)、ペガサスなど華やかで美しいデザインは装飾品としても人気だ。

 父の影響で塗下駄の道に入り半世紀以上。「良い履物を履くと着物の価値も上がる」。下駄を主役に、という思いを作品に込める。

 県郷土工芸品振興会長や静岡塗下駄工業組合の理事長として後進の育成に尽力する。「先細りの業界だが、地元の人に知ってもらい長く続いてほしい」。静岡市葵区。

(三宅千智)

村松 富近(むらまつ・とみちか)さん 75歳

◆機械時計組立調整工 「時は命」を貫き54年間

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 沼津工業高卒業後に三年間の工場勤務を経て、父が創業した「ムラマツ時計眼鏡店」に入り、五十四年間にわたって機械式時計の修理を続けてきた。現在は沼津時計商組合長を務め、修理の技能講習会などを通じて後進育成にも尽力する。

 「『時は命なり』との思いでずっとやってきた。受賞は本当に光栄」と喜ぶ。現代では電池式時計が主流だが「機械式は大切にメンテナンスすれば、電池式より長持ちする。毎日ぜんまいを巻くのが楽しみという人もいるので、これからも頑張りたい」と意気込む。沼津市原。

(杉原雄介)

 

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