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「薬草の宝庫」伊吹山、シカの獣害深刻 花畑が消える

防護柵の外側の植物は食べられてしまっている=ユウスゲと貴重植物を守り育てる会提供

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 古くから薬草の宝庫として知られる滋賀、岐阜両県にまたがる伊吹山(一、三七七メートル)の自然が危ない。ここ十年ほどでシカなどによる植生への獣害が深刻化している。山頂の花畑をはじめ、行政や市民団体が植生の保全活動を進めるが、待ったなしの状況が続いている。

 平安時代に編さんされた「延喜式」には、宮中に伊吹山の薬草が献上された記録が残っている。場所は分かっていないが、織田信長が宣教師の勧めで、三千種の薬草を植えた薬草園があったとも言われている。

 気象的、地理的な条件から、固有種や北方系植物など約千三百種類の植物が群生している。二〇〇三年七月には、「お花畑」として親しまれる山頂草原植物群落が国の天然記念物に指定された。

山肌があらわになっている伊吹山7合目付近=ユウスゲと貴重植物を守り育てる会提供

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 米原市によると、獣害が深刻化してきたのは十年ほど前から。温暖化で雪が少なくなり、餌を求めるシカなどの動物が次第に山頂付近まで登り、一帯の植物が食い荒らされるように。現在は、両県の七つのルートからシカが上がってくることも確認されている。

 花畑を守ろうと市は、一四年から周囲全長三キロにわたって、金属やネットの保護柵で囲い込むことに。シカの侵入は防げるようになったが、ネットは雪や強風に耐えられないため、十一月にネットをいったん下ろし、四月中旬にまた張り直すため手間がかかる。柵の購入費など保全に充てる入山協力金をどのように集めるかも重要だ。

 県と市は〇七年度末に、伊吹山を守る自然再生協議会を設立し、植生の再生に向けて協議を重ねている。今年二月の協議会ではシカの駆除や、荒れた環境に負荷を掛けるトレイルランイベントの実施について話し合った。「ユウスゲと貴重植物を守り育てる会」は、伊吹山ドライブウェイ利用者にも協力を呼び掛けるなど入山協力金の徴収方法を提案した。

 「『昔あった花畑はどこにあるの』なんて聞かれるようになった」と話すのは、伊吹山もりびとの会の西沢一弘会長(76)。同会は登山道の整備や観光客のガイドをしている。「花がたくさんあったころを知る人たちから心配する声もある。かつての観光客が楽しめるよう元に戻していきたい」と願う。

 (稲垣遥謹)

【土平編集委員のコメント】 今日紹介したのは、滋賀県彦根市や米原市などを対象にした「びわこ版」の記事です。長野県松本市で勤務していた際、北アルプスでのシカの食害が問題になっていました。「上高地にも姿を現している」と聞いた時には少々驚きました。ただ、もっと標高の高い場所にも来ていたようです。数が増えすぎて、餌が不足になったのが要因などといわれていますが、伊吹山も同じような状況でしょうか。記事に付けられた写真から深刻さが伝わってきます。

 

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