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老犬介護へ来春施設 近江八幡の女性が計画

来春に老犬の介護施設を開設する柴田さん。自宅では4匹の犬を世話している=近江八幡市上田町で

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 核家族化が進み、犬や猫などのペットは、今や家族同然の存在。飼育の質が向上し、医療が発達したことで、人間と同様、長寿化の時代を迎えている。だが、ここに新たな問題が生じている。年老いた飼い主が世話を続けられなくなった場合、ペットは誰が面倒見てくれるのだろうか? 動物介護士の資格などを持つ近江八幡市上田町の柴田美香さん(52)は、そうした人たちの悩みに少しでも応えたいと、県内で数少ない老犬介護施設を来春に開設しようと計画している。

 柴田さんは現在、四匹の犬と暮らす。高島市の動物愛護団体から引き取ったマルチーズやチワワ、トイプードルなど。既に徘徊(はいかい)を始めた老犬もいるが、最期まで世話する覚悟だ。「この子たちがどんな風に育ってきたかは分からないけど、最期は家庭的な雰囲気でみとってあげたい」と話す。

 かくいう柴田さんにも、自責の念がある。一つは、幼少期に実家で飼っていた犬の世話ができず、最終的に親が保健所へ連れて行ったこと。もう一つは、働き盛りの三十代に飼っていた犬が、具合が悪かったにもかかわらず、多忙で病院へ連れて行けず、死なせてしまったこと。「最期まで幸せにしてやれなかった心残りを、ずっと抱えて生きてきた」と明かす。

 ペットを飼うからには、最期まで適切に世話をする「終生飼養」の徹底が、二〇一三年施行の改正動物愛護管理法で明確化された。保健所では、「飼えなくなった」などの理由で持ち込まれる犬や猫は、原則引き取らない。だが、その結果として「捨てられる犬猫が増えている」と柴田さんは指摘する。

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 柴田さんは五年ほど前から動物愛護の活動に携わっており、山中や公園、動物病院の前などに捨てられる犬猫の情報を、数多く見聞きしてきた。「人間の身勝手な都合だけど、みんながみんな、望んで捨てたかったわけではないとも思う」と語る。どこかに受け皿があれば、救われる命もあるはず。そんな思いから、今回の老犬介護施設の建設を計画したという。

 計画では、自宅前に施設を建て、何らかの事情で飼えなくなった老犬(老猫も含む)を預かる。所有権は飼い主が持つケースや、完全に引き取るケースなど、さまざまな例を想定。柴田さんは「いったん預けても、何度でも会いに来ていい。ペットと飼い主の関係はずっと変わらない」と話す。

 一般社団法人「ペットフード協会」(東京)の調査では、一八年の犬と猫の平均寿命は、それぞれ一四・二九歳と一五・三二歳。長寿犬になると二十年近く生きるケースもある。子どもが独立、結婚し、五十代以降に飼い始めた場合、自身の老いとペットの老いが重なる「老老問題」と直面することも考えられる。

 柴田さんは「できれば家庭で終生飼養を全うしてほしい。でも、どうしても飼えなくなることもある。安易に捨てる道を選ばず、施設に預ける選択肢も考え、飼い主としての責任を果たしてほしい」と訴える。

 ◇ 

 老犬介護情報サービスを手掛けるリブモ(東京)によると、個人や法人、動物病院などが手掛ける老犬施設は全国に少なくとも約四十カ所が存在。入居頭数は増加傾向で、一九年八月末時点で七百四十五頭いる。同社は「犬を『捨てる』のではなく、『預ける』場所として、今後も需要は高まっていく」と話している。

◆安らかな最期を

 柴田さんはクラウドファンディングサイト「Makuake」で、老犬介護施設の建設資金を募っており、計画の詳細も公開している。猫を飼っている京都府内の八十代の女性から既に一件、予約も入っている。女性は「自分が死んだら、この子(猫)の世話をする人がなく、安楽死させようかとまで考えていた。これで安心や」と泣いて喜んだという。一匹でも多くの命が救われ、安らかな最期が迎えられることを願いたい。

 (平井剛)

 

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