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伝統のサンヤレ踊り、映画で永遠に 草津・矢倉、3年かけ自主製作

撮影中のサンヤレ踊り当日のシーン

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 草津市矢倉で二年に一度行われる伝統神事「サンヤレ踊り」(国選択無形民俗文化財)を継承するため、祭りや踊りを通じた地域の結束を描いた自主製作映画「サァ〜行こか」が完成した。主人公の小学生が踊りを先導する太鼓を任され、祖父から熱のこもった教えを受けて後継者として育っていく姿を描く三十分の映画。二十四日に同市の草津クレアホールで上映会を実施する。

 サンヤレ踊りは草津市内七カ所で五月三日に行われる。稚児を先頭に太鼓や鉦(かね)、踊り手が続き、にぎやかに「サンヤレ」と囃しながら集落の外まで練り歩く。楽しげな囃子(はやし)で災いを招く悪神を誘い、集落から連れ出す意味があるという。

 矢倉では、四百年前に街道整備のため藩主に命じられ、東海道と矢橋街道沿いに移り住んだ住民「居住組」が踊りを担う。江戸時代の衣装も保存するなど伝統を受け継ぎ、結束を維持してきた居住組だが、かつては三十軒超だった世帯数も現在は十四軒にまで減少。担い手不足に悩んでいた。

監督の河崎さん(右)と監修の中島貞夫さん=草津市役所で

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 映画を企画し、脚本、監督を務めた元商社マンの河崎凱三さん(75)は、約十五年前に草津市に移住。サンヤレ踊りを知り、「こんなに素晴らしいものを残していかなければ」と制作を決意した。

 しかし、企画は当初から難航した。河崎さんが居住組に協力を依頼したところ「神事は見せ物じゃない」「映画なんて作れるのか」と、異論が出た。血縁で継承してきた踊りに部外者が入ることへの反発も。河崎さんは「もうあきらめた方がいいのか」と苦悩した。それでも、居住組の当時の頭・吉川真史さん(69)が「わしら家族だけは応援する。がんばってほしい」と励まし続けた。

 二〇一七年から始めた撮影が一年過ぎたころから、居住組も協力的に。吉川さんは「本来なら居住の者でやることをやってくれた。自分たちは一生懸命踊るだけと思った」。

 前回からは、居住組以外の地域住民も参加。地元の矢倉小では、河崎さんが踊りについて講演を始めた。現在の頭・中島豊三郎さん(63)は「映画を通じて住民の意識が変わった。今後も踊りを残せるよう一緒に考えたい」と話す。

笹を持つ踊り手の撮影風景=草津市西矢倉で(河崎凱三さん提供)

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 全員が素人から始めた映画は、映画監督の中島貞夫さん(85)らの監修を受け、三年がかりで完成した。中島さんは「一生懸命さが素直に伝わってくる。アマチュア映画の一つの極致と言える出来」と太鼓判を押している。

 上映会は二十四日、午後二時半に開演。入場無料で定員六百人。映画上映のほか、イメージソングの演奏や、映画を生かしたまちづくりについてのパネルディスカッションもある。

 (岡屋京佑)

 

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