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糖尿病網膜症をAIで発見へ 眼底写真から初期症状検出

日本医用画像工学会大会で表彰を受ける畑中准教授(右)ら=7月25日、奈良市で(県立大提供)

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 県立大(彦根市)工学部電子システム工学科の畑中裕司准教授(46)の研究グループが、眼底検査で撮影した画像から、糖尿病合併症の一つ、糖尿病網膜症の初期症状として現れる毛細血管瘤(りゅう)を人工知能(AI)が自動で検出する研究を一歩前進させた。実用化に向け、さらなる研究が必要だが、畑中准教授は「毛細血管瘤が早く見つかれば、糖尿病の早期治療や視野欠損の悪化を防げる」と話した。

 厚生労働省の難治性疾患克服研究事業の報告書(二〇〇六年)によると、日本人の失明原因で糖尿病網膜症は緑内障に次いで二番目に多い。糖尿病網膜症は病状が進むと網膜剥離や失明につながる。

 人間ドックでは糖尿病網膜症の所見を調べるため、眼底検査を実施。初期症状として現れる、網膜に張り巡らされた毛細血管にこぶができる毛細血管瘤がないか確認する。

 毛細血管瘤は検査時に撮影する眼底写真に、ごく細かな点として現れ、眼科医が目視で探す。畑中准教授の研究グループは、確認作業をAIに任せ、自動検出できるようにするものだ。

 AIは、読み込んだ画像の特徴を学習データとして蓄積。それを基に血管瘤を見つける最適な手順を自動で考えだす。研究グループは、海外のデータベースで公開されている外国人七十八人分の眼底写真をコンピューターに読ませ、正常な画像と、毛細血管瘤のある画像を覚えさせた。

 別の六十一枚の画像を読み込み、血管瘤を識別できるかを検証。当初は、まったく検出しなかったり、血管瘤以外の部分を誤認識したりと失敗が相次いだ。

 そこで、あらかじめ血管部分の色を強調、周囲との対比をはっきりさせてから写真を読み込むことで、血管瘤の判定がより正確にできることを突き止めた。

 これまでの研究では、判定ミスを一カ所まで許容した場合、精度は20〜30%ほどだったが、今回の研究で60%程度まで向上。研究グループのまとめた論文は七月、奈良市であった日本医用画像工学会大会で「田中栄一記念賞」を受賞した。

 畑中准教授は「せめて70%程度は識別できないと実用化は難しい」とし、今後は日本人の眼底写真などより多くの検証データを積み上げ、さらに精度を高める。「いち早く病変を見つけることで視野欠損を防ぎたい」と畑中准教授。失明のリスクを減らすため、研究の進展に期待がかかる。

 (稲垣遥謹)

 

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