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多彩な味で積極展開 近江八幡「二兎醸造」のクラフトビール

二兎醸造が本社近くに開業したビアカフェで、サーバーからビールを注ぐバトバートルさん(手前)=近江八幡市大杉町で

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 一九九四年の酒税法改正を機に、全国各地で誕生した「地ビール」。今では「クラフトビール」と呼び名を変えて定着している。大手のビールとは異なる風味が楽しめるとあって、ブームの波は何度も訪れ、新規参入する企業は多い。昨年八月に近江八幡市の八幡堀沿いで操業を始めた「二兎(にと)醸造」もその一つ。フルーティーな味と香りのビールで、ファンを着実に増やしている。

 猛暑が続くこの夏。二兎醸造が二月にオープンしたビアカフェには連日、多くの客が詰め掛ける。売れ筋は、小麦を原料にしたドイツビールの「クラシックバニー ヘフェ」や、梅やシソのエキスを加えた「ウメラガー」「リルリッパー シソサワー」。コレット理子(あやこ)社長(38)は「どれも軽めのテイストで、最初の一杯としてゴクゴク飲めるのが特徴」と説明する。

 同社が造るビールはペールエール、ピルスナー、IPA、スタウトなど多種多様。大手メーカーのビールは、すっきりしたのど越しと苦味を特徴とするラガータイプが大半で、「ビールにもこれだけバリエーションがあることを知ってほしい」と理子社長は語る。

 種類の多さこそが、クラフトビールの持ち味だ。九四年の酒税法改正前は、ビールの年間最低製造量が二千キロリットルと決められていた。それが法改正で六十キロリットルに大きく引き下げられ、大手以外の事業者でも参入しやすくなった。その結果、麦芽やホップ、酵母などで差別化を図る多彩なビールが各地で花開いた。

 二〇一七年十二月創業の同社は、業界では後発組。理子社長の夫で豪州出身のショーンさん(33)と、モンゴル出身のバトバートル・プレブオチルさん(34)が、留学先の京都大大学院で出会い、互いにビール好きで意気投合。ともに経営学を習得し、日本でクラフトビールの市場がまだ伸びるとみて、三人で起業した。

 理子社長は山口県下関市出身で、三人とも滋賀には縁がなかった。近江八幡市を選んだのは、競合他社が少なく、観光地で集客が見込める上に、家賃相場が大都市より安いという、冷静な分析の結果だった。

 理子社長が経営や広報、ショーンさんが醸造や商品のデザイン、バトバートルさんが販売戦略や接客を担当。小所帯ながら業績は順調で、取引先もパブやバーなど全国に広がる。

 九月には、六基ある製造タンク(五百リットル)をさらに二基増やし、従業員を一人雇って、増産態勢を敷く。現在はたる詰めと瓶の商品のみだが、輸送コストの低い缶商品も、いずれ投入する計画だ。理子社長は「県内にビアカフェをもう一店出す構想もある。勢いがあるうちに、どんどん仕掛けたい」と積極攻勢を貫く。

 (平井剛)

 <二兎醸造> 2017年12月創業。本社は近江八幡市宮内町。社名は「二兎を追う者は一兎をも得ず」のことわざに由来し、一つの道に専心、精進していく決意が込められている。今年2月にオープンしたビアカフェ(大杉町)は、本社から50メートル離れた蔵の2階にあり、常時8種類ほどのビールと軽食が楽しめる。ビールの味を決めるホップは、ショーンさんの母国豪州や、ニュージーランドから取り寄せている。

 

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